新型「プリウスPHV」はエコカーの今後を占う試金石、日本でEV普及なるか(1/2)

新型「プリウスPHV」はエコカーの今後を占う試金石、日本でEV普及なるか
トヨタ 新型プリウスPHV 発表会 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会) 画像ギャラリーはこちら

「プリウスPHV」の月販目標台数が2500台と、かなり少ない理由

トヨタ 新型プリウスPHV 発表会新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会)

「どうして、2500台と少ないのですか?」海外メディアのひとりが、トヨタ自動車の内山田竹志会長にズバリ聞いた。

これに対して、内山田会長は自動車産業の実情を踏まえた「一般論」で、切り返した。

2017年2月15日、東京・お台場の日本科学未来館。午後1時半から始まった、新型「トヨタ プリウスPHV」の発表記者会見には300人を超えるメディアが集まった。

会見の冒頭、内山田会長自ら、プレゼンターとして「プリウスPHV」の魅力と伝えた。会場で配布されたカタログの表紙には「ハイブリッドの次は、なんだ?」という問いかけがある。

それに対して、内山田会長は「PHV!これがトヨタの答えだ」と言い切った。1997年に登場した、初代「プリウス」の開発責任者を努めた同氏の言葉に、重みを感じた。

その後、商品説明、CMキャラクターを務める女優・石原さとみさんのトークセッション、そしてクロージングを経て、テレビ向けのムービー撮影、スチールカメラ用の撮影と続き、質疑応用の時間となった。

15時前には質疑応答は終了し、さらに内山田会長の“囲み取材”へと移った。冒頭の海外メディアの質問は、その“囲み取材”でのことだ。

本稿では、その際のやり取りを、そのまま掲載することはしない。「2500台と少ない理由」について、トヨタの主張をそのまま掲載するのではなく、筆者の考えを書かせていただく。

>>トヨタの答え、新型プリウスPHVを写真でチェック(画像101枚)

EV市場の先行きが見えない

新型プリウスPHV CMキャラクター 石原さとみさん(トヨタ 新型プリウスPHV 発表会)

「お客様ファースト」の視点で、「普段はEV」と銘打った新型「プリウスPHV」。

満充電の状態で最大68.2キロまでEV走行が可能だ。これは、初代「プリウスPHV」の26.4キロの2.58倍と大きく伸びた。会見後の技術説明の場で、充電機器の開発者に「68.2キロという数字を決めた根拠は何ですか?」と聞いた。

それについて「日本の自動車ユーザーの約8割の人が、1日あたり60キロ超、クルマを使うため」と回答した。初代の場合はこれが「約5割」という設定だった。この60キロ超を可能とすることを目安に、電池のコストと、搭載する際の重さや場所などを総合的に判断して、最終的に電気容量が8.8kwhになったという。

また、初代の場合、EVモード中でもアクセルを大きく踏み込むとエンジンがかかったが、新型では時速135キロまでエンジンが駆動せずに加速が可能。また、記者会見では動画で、かなりな急こう配でアクセルを深く踏み込んでもEVモードを続ける様子が映し出された。

このように、EVとしての使い勝手を強調した新型プリウスPHV。

しかし、そもそも日本市場でのEVに対する認知度はまだまだ低く、普及が進んでいない。2010年前後、三菱「i-MiEV」と日産「リーフ」が市場投入された頃、それから5年先の2015年には日本国内でさまざまなEVが走り回っていることを、三菱自動車、日産自動車のみならず、トヨタもそうした街の姿を想定していた。

ところが、充電インフラの普及の問題、EV新車価格の高さとリセールバリュー(中古車価格)とのバランスの問題、さらには国土交通省が進めてきた小型EVである超小型モビリティの法整備の遅れなど、さまざまな課題がある中、日本でのEV普及が当初予定よりかなり遅い。

また、トヨタは世界市場も見据えて、一時は「iQ」のEVバージョンである「eQ」の量産を計画していたが、企画の進行途中で取りやめている。こうした経緯の中で、日本でのEV市場は、いまのところ「先行き不透明」というのが、自動車産業界での大方の見方だ。

「普段はEV」という、「簡易的なEV」であるプラグインハイブリッド車が、これからどのように普及していくのかを見通すことも難しい。よって「2500台」という、プリウスの月販販売台数の10分の1以下となるコンサバな数字になったのだと思う。

>>トヨタの答え、新型プリウスPHVを写真でチェック(画像101枚)

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

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