【試乗】スズキ 新型「ラパン」(3代目「アルトラパン」) 試乗レポート/藤島知子(3/3)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:阿部昌也
高めのアイポイントで捉えやすい視界。車庫入れが苦手な方には「全方位モニター」も
では、走りやすさはどうなのだろう?
免許取り立ての若者が乗ることが多いクルマだとすれば、安心感や車両感覚の捉え易さが安全ドライブを左右する。
まずは運転席からの視界感覚に注目。ワイパーがフロントウインドウの下部にせり出して見えるところはレトロなクルマっぽくて愛嬌を感じるところだが、実際にドライバーが座っているのはアップライトなポジションで、窓の位置に対して、アイポイントはちょっと高め。周囲を見下ろすようにしてクルマ周りの直接視界が捉えやすく、街乗りでも安心して走らせることができる。
さらに、メーカーオプションの『全方位モニター』を装着すると、車庫入れが苦手なドライバーの不安が解消されそうだ。クルマの前後左右に設置された4つのカメラがまるでクルマを真上から見たような映像を表示。クルマの左右、後方の障害物の状況が確認しやすいため、クルマを擦るリスクを回避しやすくなる。
さらなる安心装備としては、横滑り防止装置が標準化されているほか、追突事故の被害を軽減する『レーダーブレーキサポート』やペダルの踏み間違い事故を抑制する『誤発進抑制機能』など、経済性が求められる軽自動車でありながら、事故のリスクを減らすプラスアルファの安全機能が全車に標準装備されたことからも志の高さが伺える。
最も大きな進化は8代目アルトから譲り受けた新世代の軽量ボディと低燃費技術を磨き上げた新パワートレーンの採用で120kgのダイエットに成功していることだろう。それに伴い、燃費は先代ラパンよりも9.6km/LアップとなるJC08モード 35.6km/L(2WD CVT車)を達成している。発電のタイミングに着目し、エンジンの負荷を抑える『エネチャージ』はスズキの低燃費技術の柱となるが、もっともベーシックな『G』以外のグレードに標準設定されている。
ラパンに搭載されるエンジンは660ccのノンターボのみ。トランスミッションはベースグレードの『G』のみが自動変速モード付きのシングルクラッチトランスミッションの『AGS』となり、それ以外のグレードにはCVTが組み合わされる。
マイペースにクルマに向き合え、自然と笑顔も
一方で、高速走行はどうか?
そのあたりはCVTであっても、アクセルをグッと踏み込むシーンでは1拍おいた後にエンジン回転が上がってジワジワと車速を伸ばしていく感覚。聞こえてくるエンジン音は耳障りなノイズを上手に抑えてくれているので、不快な印象は与えない。リラックスドライブを楽しみたい気持ちにさせるクルマだけに、必要にして十分なパワーだと感じられた。
どこかマイペースに乗れる感覚で心地よく向き合うことができるアルト ラパン。こんなクルマが生活の傍らに居てくれたら、忙しなかった日常の中で、自分らしいスタイルを取り戻すことができそうだ。ふとした時にボディに隠されたウサギのマークを発見してみたり、メーターから時折語りかけてくるメッセージに思わず笑みがこぼれてしまうかも知れない。
[レポート:藤島知子/Photo:阿部昌也]
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スズキ アルト ラパン X[2WD] 主要諸元
全長x全幅x全高:3395x1475x1525mm/ホイールベース:2460mm/車両重量:680kg/乗車定員:4名/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 12V ガソリンエンジン/総排気量:658cc/最高出力:52ps(38kW)/6500rpm/最大トルク:6.4kg-m(63N・m)/4000rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/燃料消費率:35.6km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:155/65R14 75S/メーカー希望小売価格:1,389,960円[消費税込み]<全方位モニター付メモリーナビゲーション装着車は118,800円高/ホワイト2トーンルーフ仕様車は43,200円高>
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