スバル BRZ tS 試乗レポート/河口まなぶ(2/3)
- 筆者: 河口 まなぶ
- カメラマン:和田清志
いざ始動!
お、俺<また俺(笑)>は、なんというクルマを買ったのだ…い、いいじゃないか!
タイヤのひと転がりで確信した。つい先日まで乗っていたノーマルのBRZもかなり気に入っていたがこの「tS」、それを遥かに上回る感触をタイヤのひと転がりから伝えてくるじゃないか!
「tS」はノーマルの16/17インチに対して、18インチのSTIホイール&ミシュラン・パイロット・スーパースポーツを履く。実は僕も以前の愛車でこのタイヤをOZホイールに組み合わせて履いたが、ノーマルとのマッチングだとタイヤの性能が高すぎた。でも乗り味は18インチでも良かった。それがこの「tS」ではしっかりと履きこなしている。そしてサイズアップしたにも関わらず乗り心地も悪くない。もちろんこの辺りはSTI仕立てのシャシーの実力に他ならない。さすがに段差ではビシッと入力があるが、それ以外ではノーマル以上の乗り心地と、フラットライドが実現されている。そしてここが実におとなっぽい乗り味を感じさせる要素になっている。
気持ちとしては目をつぶって味わいたい…
コーナーに対して操舵すると、これまた恍惚状態にしてくれるステアリング・フィールがそこにある。ラックへの取り付けを貫通ボルトとして剛性をアップしたステアリングからは、先に記したSTI謹製シャシーの生むおっさん殺しの乗り味に加え、シルクをなでるような走り味が手のひらに伝えられる。
パッと乗ってしまうと見過ごすかもしれない。しかしわかる人にはわかる、とてつもなく良い味のフィールが生まれているのだ。輸入車ではある意味当たり前ともいえる硬質ながらも滑らかなこの感触は、日本車ではなかなか手に入らないもの。それがここに、ある。
コーナリングの姿勢は、エンスーが唸るものを実現している。操舵に対して、ノーマルよりも遥かにまろやかな感触が伝わるが、ボディはすみやかに踏ん張る準備を整える。そしてノーマル以上にピタリと向きを決めてロールが生まれる。このロールの感触も、ともすれば「ノーマルより柔らかい?」と思えるフィーリングを伴う。運転しているだけに実際にはそうできないが、気持ちとしては目をつぶって味わいたい…そんな感覚。そしてこれはサーキットで走らせるのが楽しみな感触でもあったのだ。
ちなみにこの「tS」、なんとドライブシャフトを大径化するというマニアックな変更をしている。この効果は絶大。大径化により高剛性となり、レスポンスの良さ、スナッチの低減などを生み出し、実際にパワーが増したかのような感覚まで味わえる。ちょっとオタク過ぎるこの変更は、好きモノならば試して自慢すべき項目なので忘れるべからず。
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