ホンダの元気印「タイプR」が全国から集結!|ホンダ スポーツ ドライビング ミーティングR

意外にもType-Rだけのイベントは初

2019年9月16日に鈴鹿サーキットにおいて、歴代の「Type-R」オーナーのみが参加できる「ホンダ スポーツ ドライビング ミーティング-R(HSDM-R)」が開催された。

HSDMとは、ホンダのスポーツモデル&スポーティーモデルを操る楽しさを実感するためのイベントである。知識と経験が豊富な講師・インストラクターの指導のもと、クローズドコースでクルマの挙動を知り、運転技能を向上させることを目的に、定期的に鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎで行われているのだ。

HSDMは当初、インテグラやシビックなど車種ごとに「コンセプトミーティング」として開催されてきたが、最近はホンダ NSX・ホンダ S2000・各Type-R・Euro-R・ホンダ フィットRS・ホンダ S660・ホンダ ビートなどを対象とした「HSDM」、ホンダ NSXのみ参加できる「NSXオーナーズミーティング」の2本立てで行われていた。

今回は「Type-R」だけを対象とした初めての試みで、ホンダ・スピリッツの象徴のような「Type-Rだけ」のイベントがなかったのは意外に感じられる。

普段は体験できないクルマの挙動を知る

抜けるような青空のもと、鈴鹿サーキットには全国各地からType-Rが26台と同伴参加者13名が集まった。関東、関西、中国地方など遠方からの参加が多いのも印象的だ。基本的な趣旨は通常のHSDMを踏襲するが、さすがType-Rのイベントだけあって、トレーニングやスポーツ走行の時間が豊富に用意されたほか、かつてグループAやJTCCなどでホンダを駆り、HSDM設立時からインストラクターを務める元レーシングドライバーの岡田秀樹氏、ホンダ NSXに乗りスーパーGTのGT500クラスで戦う伊沢拓也選手、同じくGT300クラスに参戦する中山友貴選手が講師陣に名を連ねていた。

開講式と講師によるレクチャーを終えると、いよいよ午前中の走行がスタート。26台を2グループに分け、STEC(鈴鹿サーキット交通教育センター)内の内周コース〜スラロームコース〜スキッドコースを活用して加速やスラロームのトータルトレーニングを行なった。中でも滑りやすい路面を安全な低速度で再現するスキッドコースでは、リヤタイヤを駆動するホンダ NSXではテールスライド、それ以外のFF車ではアンダーステアからのリカバリーが習得できる。走行を繰り返すたびに参加者のテクニックが上達しているのがよくわかった。

ファン必見! 「シビックType-R開発者」が語る“Type-Rに秘めた思い”とは?

昼食を挟みSTEC内で記念撮影を済ませた後、午後のレクチャーが始まった。ゲストは株式会社 本田技術研究所 オートモービルセンターから招かれた柿沼秀樹氏と木立淳一氏である。柿沼氏は1991年にホンダに入社、ホンダ CR-Vやホンダ S-MXの車両・サスの研究開発を行なった後、1999年からホンダ シビックType-Rの車両運動性能開発に従事。2015年以降は現行型ホンダ シビックType-Rの開発責任者を勤めている。

木立氏も同じく1991年に入社、人間工学・エクステリアの研究開発やNSXのエクステリア・パッケージ開発リーダーを歴任し、2014年からはニュルブルクリンク インストラクターを担当。各種ホンダ車で走り込みも行なっている。

講義では柿沼氏が1992年のホンダ NSX Type-Rから始まるType-Rの歴史と現在までの系譜、ホンダ シビックType-Rのパワーウェイトレシオ変遷、現行型ホンダ シビックType-Rの詳細や開発秘話を話し、木立氏は実際にニュルブルクリンクを1周する動画を流してコースの特徴を解説したほか、ホンダにおける社内インストラクター制度を紹介した。

いずれもホンダ、そしてType-Rが好きなユーザーには必聴の内容だったが、さすがクルマ好き、Type-Rオーナー向けのイベントだなと感じたのは、各Type-Rを車名ではなく“型式(EK9型やEP3型、FK8型など)”で解説が行われていたことだ。一般的には知られていないクルマの型式を、「みんな知っていることが前提」として話すことは、このような車種やグレード縛りのイベントでは強い共感を生み、嬉しくなるものなのだ。

Type-R、その奥深いパフォーマンスを楽しむ

開発を担当した柿沼氏と木立氏の興味深いレクチャーを聞いた後は、再び自身のType-Rで走行するプログラムだ。次の舞台はSTECを一度離れ、サーキット敷地内にある「南コース」。同コースは1周1.264kmの小さなサーキットだが、高速運転時の運転操作を基本から学ぶことができる。

ここでは、午前と同じように2グループに別れ、1グループはコースインして自らステアリングを握ってのスポーツ走行を、もう1グループは講師陣3人の助手席に乗る同乗走行を行なった。プロドライバーのライン取りやテクニックを間近で確認できる貴重な機会となったに違いない。

歴代のType-Rが集結し開発者は感激

自らが責任者として開発した現行型 シビックType-R以外にも、数多くのType-Rを手がけてきた柿沼氏は、南コースを元気一杯に走るいろいろなType-Rを見て、心から嬉しそうな笑顔を見せていた。

「Type-Rは今やとても大きな、皆さんに期待されるブランドになりましたが、私たちはType-Rを作って売って終わるだけではオーナーさんに申し訳ないので、このブランドを盛り上げるような機会を作りたいと考えていました。そこで、Type-Rだけを集めたイベントを企画したのです。すごい性能を秘めているのに、一般道しか乗ったことがない方が多いので、このような機会で本来のType-Rをぜひ知っていただきたいと思いました。こうしてオーナーさんが楽しんでいると、こちらも嬉しくなりますね。

今日は、私が手がけてきたクルマがたくさん来ていますが、自分の社内での歴史を見る思いです。Type-Rは長い歴史がありますが、以前は会社内でも”異端児”扱い、特殊な存在だったのです。現在では「Type-Rっていいよね、ホンダにとって大事だよね」って言ってもらえるようになりました。今の現在のホンダ シビックType-Rも、これまでのType-Rがあったからこそ辿り着いたモデルです。今後も、もっと魅力あるType-Rを出していきたいです」

鈴鹿サーキットでType-Rのパフォーマンスを楽しむ

HSDM-R最後のプログラムは、いよいよ鈴鹿サーキットの国際レーシングコース走行だ。

17時頃のコースイン時には日も落ちかけており、暑かった1日が嘘のように、涼しい風がサーキットに吹き始めていた。ピット出口付近で参加車を待っていると、ホームストレートの向こう、最終コーナーを超えて26台のType-Rがゆっくりと隊列を組んで走ってきた。夕暮れ迫るホンダの聖地・鈴鹿に、ホンダの象徴とも言えるType-R だけが並ぶシーンに、取材陣からも感嘆の声が漏れる。ホームストレートで2回目の記念撮影を終えると、3人の講師の先導でType-Rたちがサーキットをハイペースで目の前を駆け抜けていった。

タイプRオーナー3組を直撃!

合間を縫ってHSDM-Rに参加したオーナーにも話を聞くことができた。

まずは初代シビックType-R(EK9型/6代目シビック、2000年型)を2019年3月から乗る西野颯太さん。西野さんはマイカーと同じ“年式”の19歳! FK9型を選んだ理由は「かわいいのに本気を出したら速いから」で、Type-Rの良さは「高回転まできっちり回るVTECエンジン」だという。

続いては真っ赤な現行型ホンダ シビックtype-R(FK8型/10代目シビック)で来場した増井克己さんご夫婦。2輪、4輪含めほとんどホンダしか乗ったことがなく、他にもホンダ S2000やホンダ ビートもお持ちという根っからのホンダ党だ。シビックType-Rは4代目ホンダ オデッセイ(RB4型)からの買い替えで、日常の生活にもホンダ シビックType-Rを使用しており「高性能車なのに実用性が高く、普通に乗れるので、ホームセンターなどもこれで行く」という。Type-Rでは珍しい鮮やかな赤色のボディカラーは、奥様のオーダー。「赤を買ってよかった!」と話していた。

3人目は、販売台数が少なかったために現在も貴重な存在となっている2代目ホンダ シビックType-R(EP3型/7代目シビック)のオーナーさんにお声がけした。静岡県から参加の小松哲也さんのEP型3はなんと2台目! EP3型の魅力を聞いたところ、「コンパクトなサイズで、自分のテクニックで扱いきれる適度なパワー」とのこと。現状維持を心がけたい、と今後の予定も教えてくれた。

今もなお生きる本田宗一郎の魂

今回のイベントが開催された「STEC」「ASTP」のことも、ぜひここでご紹介したい。STECは鈴鹿サーキット交通教育センター、ASTPはアクティブセーフティトレーニングパークの略で、どちらもホンダ傘下の株式会社モビリティランドが運営する。

ホンダでは交通安全の3要素を「人(=ドライバー)」「クルマ」「環境」と定義し、特に交通社会の重要な一員である「人」に焦点を当て、単なる運転テクニックの習得に偏らない“高いモラルを持ったドライバー”の育成活動を行なっている。

この活動は「社会的責任としての企業活動」の一環で、「人間尊重」「人の命を預かるクルマを作るからには、ユーザーの安全を守ることは一生懸命やるのが当たり前」と話した本田宗一郎氏の理念に沿っているという。

そしてSTECは鈴鹿サーキット開業からわずか2年後の1964年といまだマイカーが普及する前に開設されたのだから、交通安全活動を開始したホンダの先見の明に驚かされる。氏の魂は、今なおホンダの中に生きているのだ。

2回目の開催も期待したい

第1回目となるHSDM-Rはこうして無事に閉幕した。次回の予定はまだアナウンスされていないが、通常のHSDMは鈴鹿サーキットのSTECおよびツインリンクもてぎのASTPで頻繁に開催されているので、気になった人はぜひホームページでご確認を。筆者も、ホンダが1960年代からずっと続けてきた交通教育のプログラムの一環として連綿と続いているHSDMに、これからも注目していきたいと思う。

【筆者:遠藤 イヅル/撮影:小林 岳夫】

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。 [遠藤イヅルFacebookページ] http://www.facebook.com/endoizuru記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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