“カーナビ 生みの親”パイオニア「畑野 一良」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子(1/2)

“カーナビ 生みの親”パイオニア「畑野 一良」氏×「学生カーソムリエ」対談/飯田裕子
パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子 カーナビ「生みの親」パイオニア 畑野一良氏インタビューの為にパイオニア本社へ訪れた学生カーソムリエ カーナビ「生みの親」パイオニア 畑野一良氏インタビューの為にパイオニア本社へ訪れた学生カーソムリエ 画像ギャラリーはこちら

あのプロジェクトXにも出演された“カーナビ 生みの親”畑野一良氏にインタビュー!

カーナビ「生みの親」パイオニア 畑野一良氏インタビューの為にパイオニア本社へ訪れた学生カーソムリエカーナビ「生みの親」パイオニア 畑野一良氏インタビューの為にパイオニア本社へ訪れた学生カーソムリエ

パイオニア株式会社は、1937年に国産初のダイナミックスピーカーを生産したオーディオ機器メーカー。その後カーエレクトロニクス事業にも進出し、見事な発展を遂げてきたのはご存じの通り。

そんな、文字通りのカーエレクトロニクスにおける“パイオニア”に、大きな変換期が訪れたのは1980年代後半のこと。自動車メーカー自らが自社製のカーオーディオを生産するようになってから、新たな事業を模索する必要に迫られた。

そこで当時カーステレオを担当していた畑野一良氏は、次世代の憧れであったカーナビゲーションシステムの開発を提案。「家族で楽しくドライブをしたい!」という思いを胸に、まだ一般的ではなかったGPSシステムを初めて取り入れ、今では当たり前となったカーナビの源流を作り上げた。

その後も畑野氏はGPS機能付きナビをDVD方式、そしてHDD方式へと発展させ、現在では大容量のデータを相互通信させるまでこれを発展させた。しかし近年は自動車産業のIT化も進み、GoogleやAppleといった新規参入組が入り込むようになってきている。

今後、カーナビ産業はどのように変化していくのか?またパイオニア自身は、新しい局面をどう乗り切って行くのか?「学生カーソムリエ」3名の学生たちが、畑野氏にインタビューを敢行した。

「学生カーソムリエ」とは?

オートックワンでは、学生など若者へもっとクルマへの興味を持って欲しいという思いから「学生カーソムリエ」企画を立ち上げました。

「学生カーソムリエ」は、全員が19~25歳の学生。オートックワンが主催する、学生たちのクルマの知見を競う「カーソムリエ学生選手権」で上位入りした優秀な学生に対し、様々な企画を通じて自動車の魅力を発信してもらうために始まったのがこの「学生カーソムリエ」プロジェクトです。

彼らは学生でありながら、自動車についての深い知識と飽くなき探究心、そして自動車の魅力に触れ、それを発信したいという強い意思を持ち合わせており、今後もオートックワンの様々な企画に登場致します。学生カーソムリエに興味を持たれた方は、以下のリンクもぜひご覧ください。

「クルマ離れと戦う学生、それが学生カーソムリエ!」特設ページ

カーナビは「夢を形にしたい」という強い信念から生まれた

自動車ジャーナリスト 飯田 裕子さん(以下、飯田):そもそもパイオニア、そして畑野氏が求める理想とはどのようなものなのでしょうか?

パイオニア株式会社 経営戦略部 事業開発担当部長 カーエレクトロニクス事業統括部 テレマティクス事業部長 理事 畑野 一良氏(以下、畑野):

パイオニア株式会社 経営戦略部 事業開発担当部長 カーエレクトロニクス事業統括部 テレマティクス事業部長 理事 畑野 一良氏

創業者である松本 望がアメリカ製のダイナミックスピーカーから流れてくる音を聴いて、「この感動を少しでも多くの人たちに伝えたい!」と思ったことがパイオニアの始まりなのです。

海外のスピーカーに負けない音質のスピーカーを日本人の手で作り上げ、これを売り出した。私個人としては、普通なら「手を伸ばしても届かない」と思われていたものを、現実のものにして多くの人々に届けたい、という強い思いがあります。今でこそ当たり前となりましたが、カーナビゲーションシステムがまさにそう。つまり、夢を形にすることこそが“パイオニアの心”なのだと思います。

自動車ジャーナリスト 飯田 裕子さん

飯田:しかしその“夢”を形にし終えると、様々なライバルたちがそれを踏み台に新しい技術を盛り込んで来ます。パイオニアがトップを走り続ける上で、何が最も必要だと考えておられますか?

畑野: カーナビを最初に提案したのは、わかりやすく言えばウケ狙い(笑)。要するに「すごいね!」と言われたかったんです。当時、GPSは一日の半分しか使えない時代でした。それでも私には「GPSはカーナビにとって必要不可欠」という信念があって、どうしてもこれでやりたかったんです。

モニターの地図上に自分のいる位置が表示されるだけで、驚きと感動があったはずです。実用性はもちろんですが、それは多分にエンターテインメントでもあった。やはりイチバン大切なのは、人々に感動を与えることだと思います。

学生カーソムリエ 磯田さん/日本大学(以下、磯田):ボクは「プロジェクトX」を見て、初めて畑野さんを知りました。そして畑野さんにぜひ、今後のカーナビがどんな進化をしていくのか?を伺いたくなりました。

飽和状態となったカーナビ業界、活路は「スマートフォン」

パイオニア 畑野氏・蒲生氏と学生カーソムリエによる対談の様子

学生カーソムリエ 石塚さん/早稲田大学(以下、石塚):今カーナビは、学生の自分から見てもある意味飽和状態になっていると思います。それに対して、パイオニアはどう考えていますか?

畑野:確かにカーナビは、純粋な機能としてはある程度やりつくした状態になっています。そこで今は、提供される様々な情報サービスとリンクしたり、車外の情報を活用するツールとしてカメラを用いるようになってきました。特にテレマティクス情報サービスとカメラ関連技術との組み合せは自動運転にも関わる技術で、2020年を目標に我々もそこへ向かって動き出しています。

また、スマートフォンの活用は今後の必須条件となるでしょうね。これとクラウドを結びつけることによってすでに、我が社のスマートループからユーザーが様々なデータを引き出せるようになっています。

GoogleやAppleでも、クルマの安全・安心に関わる知見はまだまだ少ない

学生カーソムリエ 松浦さん/日本大学パイオニア株式会社 経営戦略部 事業開発担当部長 カーエレクトロニクス事業統括部 テレマティクス事業部長 理事 畑野 一良氏

学生カーソムリエ 松浦さん/日本大学(以下、松浦):スマートフォンといえば、GoogleやAppleといったコンピュータ関連企業が自動車産業に新規参入し始めたのは、大きな影響を及ぼすのでしょうか?

畑野: そこには二つの見方があると思います。ひとつはインターネットとの関わりですね。GoogleやAppleが参入してきたことで、カーナビは低コスト化が大幅に進んだ。GPS機能を持つスマホやタブレット端末を使うことで、非常に安価にカーナビが持てるようになったのです。ここへ我々が膨大なコストをかけて勝負を挑んでも、勝ち目はない。譲るべきところは譲るというか、極論すればオープンでもいいと我々は考えています。

ただし、パイオニアにしかできないこともある。たとえばカーナビの技術が「安全・安心の一部になる」というケースです。それは先ほども言った、自動運転に関わる技術の発展です。GoogleやAppleが、果たして安全や安心に対して価値を提供できるか?といえば、まだまだ彼らにはクルマに対する知見が少ない。要するにこれからのカーナビは、単に道案内するデバイスから安全装備へと進化して行く可能性を持っている。運転しながら安全に使わせるためのハード、ソフト、そこが自動車産業と密接に仕事をしてきた我々の強みであり、オープン化に対して“クローズ”にすべき部分ですね。

石塚: つまりカーナビは、もうハードとしての進化をやめてしまうのですか?

畑野:日本国内ではまだまだ新しい価値を提供し続けます。しかし海外では、もうあまり進化はしないかもしれません。土壌の違いとでもいえば良いでしょうか。日本には、ひとつの商品を深く掘り下げて行くマーケットがしっかり存在している。ただそれは、携帯電話と同じようにガラパゴス化しているということでもあるのかもしれません。

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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