ロールス・ロイス 3600万円の世界! 100kg超の防音材と最上の本革・本木目で創られる星空イルミ850個の異空間(2/2)

  • 筆者: 内田 俊一
  • カメラマン:ロールス・ロイス/内田 俊一
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今度は高級セダンのドライビングを楽しんでみる

エンジンがかかっていることに気付かず…

さて、帰路はステアリングを握ろう。伝統的にインパネ右側にライトスイッチ等とともにまとめられたスタート・ストップボタンを押すと、エンジンは・・・・止まった。エンジンがかかっていたことを気付かなかったのだ。それほどエンジン音は押さえられている。

気を取り直して再びボタンを押しエンジンスタート。ステアリングコラム右側に生えているセレクトレバーを手前に引きながら下に下げDを選択。ゆっくりとアクセルを踏み込むのと、滑るようにゴーストは走り出した。

車幅2メートル、車重2.5トンの高級セダンが軽快に走る!?

最初のコーナーを抜けた瞬間にこのクルマが歴代ロールス・ロイスの中でベストハンドリングカーだと気づいた。実はゴーストに乗る少し前に1000kmほどカリナンブラックバッチ(宇都宮駅から乗せてもらったクルマそのもの)をテストしていたのだが、同じ2mの車幅とは思えない程、ステアリングがシャープなのだ。特にゴーストの場合は狙った通りのラインをトレースする実力を備えており、また、ボディ剛性が高いので、コーナー途中に段差やうねりがあったとしても、リアタイヤの接地は失われずしなやかにショックを吸収していく。

この印象は2日目のいろは坂の下りでいかんなく発揮された。

新幹線の時間の制約があり、朝の宇都宮市内の渋滞を考慮し早めに出発する予定が少し遅れてしまったため、そこそこのペースで下り始めたのだが、意外にもホールド性の高いシートと相まって、コーナーを楽しむことが出来る。さらに、ステアリングの舵角をほぼ一定に保ちながらコーナーを抜けられるのも良い。

まるで飛んでいるよう!? 水平を保つ高度なサスペンションシステム

この安定し、かつ軽快なハンドリングは四輪駆動・四輪操舵システム(そう、四駆なのだ)とともに、プラナー・サスペンション・システムが大きく影響している。

このプラナーとは“完全に平らで水平な幾何学的平面”を指す単語に因んだものだ。極めて高度なスキャニングやソフトウェア・テクノロジーも駆使したこのシステムは、フロント・サスペンション・アセンブリーの上部に世界初のアッパー・ウィッシュボーン・ダンパーを装着。同社技術者によると、「ダンパーのためのダンパーで、道路からクルマに伝わる衝撃を可能な限り排除した。どんな道路状況にあっても滑らかな道路のように感じられ、まるで飛んでいるかのような感覚を味わってもらえるだろう」とコメントしており、まさに魔法の絨毯のような乗り心地を提供してくれる。

カメラが路面を読み取り瞬時にサスペンションを最適化する

そして、これに連動して働く“フラッグベアラー・システム”を搭載。これは、フロントガラスに一体化されたステレオカメラで前方の道路を読み取り、100km/h までの速度域でサスペンションを事前に最適化するもの。そこにGPS データを利用することで、これから向かう先のカーブに合わせて事前に最適なギアを選択する、ロールス・ロイス独自の“サテライト・エイデッド・トランスミッション”が加わり、これら全てをプラナー・ソフトウェア・システムと呼ばれる、いわば司令塔がまとめて管理している。

少々小難しい話をしてしまったが、つまりはロールス・ロイスが常に目指す魔法の絨毯のような乗り心地は進化し、さらにそこに高いハンドリング性能が加わったのだ。

ロールス・ロイス ゴーストの基本は“ドライバー”にあった

高速を降り、朝の渋滞を迎えた宇都宮市内を走らせると、2mの車幅が全く気にならないことに気付いた。これは正確なハンドリングとともに、左右の見切りが良いこと、そしてボンネット先端のスピリットオブエクスタシーが水先案内人の役目を果たしてくれるので、安心して狭い道でも入っていけるのだ。

無事に宇都宮駅でクルマを引き渡し、滑らかだと思っていた新幹線に意外な振動の多さを感じながら東京への帰路、新型ゴーストの印象を振り返る。

やはり一番印象に残っているのはハンドリングの素晴らしさなのだが、もうひとつ、きちんと運転しているという自覚をドライバーに与えてくれることも記憶に残っていた。

これは、例えばボディ剛性が低いがために無理やり足を固め、電子デバイスをてんこ盛りにした結果、クルマに乗せられている感が強まってしまう(一部の日本車にありがちな)ものなどとはレベルが違う。

ロールス・ロイス ゴーストの基本は“ドライバー”で、そこに自然に寄り添うようにクルマがアシストしてくれるというものだ。そう、全てが自然で違和感を覚えない仕立ての良さ、いわば、テーラーメイドの上質なスーツを着こなしている様子と言い換えてもいい。

こんなに楽しい走り、ショーファーだけのものにするのはもったいない!

それにしてもロールス・ロイスに乗って、ワインディングを走り、運転が楽しいと感じるとは思いもよらなかった。冒頭でショーファー付きのゴーストは究極の自動運転車と語ったが、前言撤回。

こんなに楽しいゴーストのステアリングをショーファーなどに渡してなるものか。

[筆者:内田 俊一 撮影:ロールス・ロイス/内田 俊一]

ロールス・ロイス 新型ゴースト 主要スペック

ボディサイズ:全長5545mm×全幅2000mm×全高1570mm/ホイールベース:3295mm/車両重量:2540~2590kg/乗車定員:4/5名/駆動方式:全輪駆動/総排気量:6748cc/エンジン種類:V型12気筒 DOHC ツインターボ ガソリンエンジン/最高出力:571ps(420kW)/5000rpm/最大トルク:850Nm/1600rpm/トランスミッション:8速AT/タイヤサイズ:255/50R19(標準仕様)/0-100km/h加速:4.8秒/最高速度:250km/h

ロールスロイス/ゴースト
ロールスロイス ゴーストカタログを見る
新車価格:
3,590万円4,200万円
中古価格:
1,118万円4,740万円
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内田 俊一
筆者内田 俊一

1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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