メルセデス・ベンツ 新型 Sクラスクーペ 海外試乗レポート/桂伸一(2/3)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
え、クルマが内側にロールする!?
すでに新型Sクラスサルーンに導入された「マジックボディコントロール」は、ステレオカメラがクルマの目の役割を果す。前方15mまでの路面の凹凸をスキャンして予めサスの油圧を制御して路面からの衝撃を減少させ、姿勢変化も抑えるシステムだ。この機能の一部とABCに車速とステアリング舵角などの情報からボディを制御するのが「カーブチルティング機能」だ。
現象としてはコーナリング中にクルマが内側に傾く!!
通常コーナーではボディが遠心力を受けてサスペンションは内輪が伸び、外輪が沈み、外側に傾くもの。ところがカーブチルティング機能は、ステア操作した方向にバイクのように、ボートのようにコーナーの”インに向けてロール”しながらコーナリングする驚きの姿勢を展開する。
不快なGを低減し、快適にコーナーを楽しむ
メルセデスのエンジニアによると、カーブチルティング機能は「速く走るための機能ではなく、あくまでも不快な横Gを低減してコーナーを快適に楽しむための機能」だという。
ところが、この速度でコーナーに進入すれば完璧にアンダーステアだろう、という勢いで進入したにも関わらず、自車が進む先にあるコーナーはすべてにカント、バンク角が付いたかのようにスルッと呆気ないほどクイックにコーナリングして見せるのだ。
タイヤのグリップ性能がアップすることではないので、旋回速度が上がるハズはないのだが、内側にロールすることで内輪にも荷重が加わり4輪の荷重バランスに優れ、4輪の接地性が高まることで結果的に曲がりやすくなる。ドライバーの感覚でも曲がるから、より強く深くアクセルを踏み込めて、踏んでもアンダーステアは出ず曲がるから旋回速度が高くなり、速く安定して抜けて行く・・・、という相乗効果がすべてに効いていると思う。カーブチルティング機能を働かせているほうが、明らかに“速く”走れているのだから。
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