マセラティ レヴァンテ、優雅な美しさの中に潜む猛獣の爪[試乗レポート]
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
イタリア・マセラティの「LEVANTE」(レヴァンテ)に試乗した。同社初のクロスオーバーSUVモデルは、他のマセラティ車同様にイタリア生まれらしいグラマラスなスタイルとセンスの良い上質なインテリアで仕立てられ、V6 3.0リッター・ガソリンツインターボの350ps/500Nm版「レヴァンテ」と430ps/580Nm版「レヴァンテS」、そしてV6 3.0リッター・ディーゼルターボ(275ps/600Nm)「レヴァンテ ディーゼル」の3ラインナップが用意される。今回取材したのは350ps版。レポートを届けてくれたのは、レヴァンテの妖艶さにも負けないオトナの色香を放つモータージャーナリスト、今井優杏さん。果たしてレヴァンテの情熱は、彼女のハートにも響いたのだろうか・・・!?
魅惑のイタリアン+リア充必須アイテム”SUV”=超!気になる存在
マセラティ、おまえもか。
そう思いつつもあの独自のイタリアン・エロな世界観を、あらゆるオケージョンをカヴァーするリア充パッケージ”SUV”で味わえるなんて、そんな欲張りな夢叶えてもらってもいーんですか!?みたいに飛びついた人は多いらしくて、私にも「あのでっかい“マセ”、どうだった?」と肉食男子からの問い合わせが多かったレヴァンテに試乗した。
いや、見た目に反して意外なほどに草食女子(ほんまです)な私ですら気になっていた。だってイタリア製のSUVですよ。作り込み、完成度、最も気になるのはイタリア勢があんまり得意としない剛性部分。いくらコアシーンを都会に置くゴージャスSUVだからって、やはりSUVだというからにはオフロードに持ってく人もいるんだろうからして、その辺仕上げの帳尻合わせはどこまで仕上がっているのか心配ですらあったのだ。
美しさと”エバり”を高次元に融合した大胆マスク
ルックスはご覧の通りの威圧系。この辺のボディデザインの美しさ、威張り感の演出はさすがの手法だ。大胆にして芳醇、まさにイメージするところのイタリア娘そのもののような、あけすけでわかりやすいルックスを叶えている。
大きく開いた開口部、ラジエターグリルはグリルシャッターを備えていて、メカメカしたナカミの具材を停車時などにはきっちりと隠すというギミックも。おかげでマセラティのエンブレム、三叉の矛”トライデント”の左右に4本ずつあしらわれた縦のクロムパーツがシンプルな造形を印象付けている。
その左右に繋がる細目のライトが左右いっぱいに張り出して、ローでワイドなスポーティーさを演出した。
思いのほかシックでクラシカルなインテリア
さて、意外に感じたのが室内のクラシカルさ。敢えてアナログ感を残してあるような、ちょっとシックな作りになっている。
レザーに覆われた高級仕様なのは当然ながら、ウッドパネルをふんだんに効かせていて、マセラティにしたらやや大人しい印象を受けた。
いや、ギブリもそうだったから、近年のマセラティのデザインは、やや上品&上質方向に傾いているのかもしれない。かつてのようなイケイケエロエロ内装がもう見られないと思えば残念なのだけど、この流れから推測するにこれでもか!みたいないやらしさがないことを喜ぶ層も多いのかもしれない。
いや、でもあのエッチっぽさこそが競合に対するマセラティの切り札な気がするんだけどな。だってあんな室内作り、ドイツ勢にはひっくり返ったって真似できないって思うから。
ドライバーズシート側から言えば、操作系は機能的で使いやすい。前述のクラシカルさはメータークラスターの中がアナログ表示だということにおいても当てはまり、回転計と速度計に挟まれたディスプレイ部分のみはデジタルカラー化されているから視認性が高い。
また、ナビゲーション関係のコマンドボタンはセンターコンソールに集約されていて、こちらのシートから背中を持ち上げずとも操作をすることが可能だ。
心臓部にはフェラーリ共同開発のV6ツインターボを搭載
搭載されるのは3.0リッターV6ツインターボエンジン。組み合わされるのは8速ATでこのエンジンはフェラーリとの共同開発による。
決して大排気量ではない、むしろダウンサイジングの波に乗ったエンジンではあるが、350ps/500Nmとパワフルで、0-100km/h加速は6.3秒と言うなかなかのもの。
ドライブモードは3種類、ノーマル・スポーツ・エコ・オフロードと多彩に用意されている。 デフォルトはノーマル。まずはこのモードで走り出す。
出足は好調だ。トルクがやたらにぐわっと立ち上がるほどでもなく、踏力に対してあくまでもリニア。8速ATの恩恵もあって、シフトアップ・ダウン双方に滑らかでストレスフリーだ。V6サウンドも心地よく、ドロドロとしたこれぞV6音が低く車内に響く。
オプションの21インチタイヤは恰好良いけれど、チョイスは慎重に
やや首をかしげたのはアシまわり、というかこの場合はタイヤのチョイス。
車高を利用した深いサスペンションストローク自体の減衰域もさることながら、エアサスがありがちなブワブワ感を持っていないところは素晴らしい。この減衰自体もフレキシブルでよく仕事をするイメージなのだけど、試乗車はオプション設定となる21インチタイヤを装着していた。しかも時節柄、スタッドレス(銘柄はピレリ・スコーピオン ウィンター)。
これがアタリの硬さ、インフォメーション過剰な印象を生んだ。
たとえスタッドレスでなくても、コンフォートをより求めるのであれば是非ノーマルの18インチ装着をお勧めしたい。いや、見た目は断然21インチがかっこいいのだけど、インチアップだけで49万円のアップだからして、そこまでお金かけて得るフィールじゃないかも、と感じた。
優雅な美しさの中に潜む鋭い爪
もちろん、同時にサスペンションセッティングやシフトタイミング、エンジンのマッピングも変わっている。ステアフィールさえも可変させるから、もうこうなりゃワインディングでもサーキットでもなんでも来いの、ちょっと背の高いスポーツカーそのものに豹変しちゃうんである。
かっちりとした重厚なステアリングで斬り込んでいけば、最適化されたアシがその速度を捉えて4WDでターンアウトまでをきっちりとサポートする。直線の気持ち良さなんて言わずもがな。なんというオラオラ感!
レヴァンテの爪はここに隠されていたのだ。やっぱりノーマルモードは羊の皮だったのだ。この豹変っぷりは本当に見事。SUVの本末転倒かもしれないけれど、是非都会でこそ乗って欲しいと感じた。
価格は1080万円から。競合を見渡してもそれほどに飛び抜けているわけじゃない。この淑女と娼婦みたいな両極の走りは、ちょっと他のSUVにないエキサイティングな演出が用意されている。
[レポート:今井優杏/Photo:和田清志]
MASERATI LEVANTE(マセラティ レヴァンテ) 主要諸元
全長x全幅x全高:5000x1985x1680mm/ホイールベース:3005mm/車両重量:2140kg/乗車定員:5名/駆動方式:4輪駆動(4WD)/エンジン種類:V型6気筒 DOHC ガソリン・ツインターボエンジン/総排気量:2979cc/最高出力:350ps(257kW)/5750rpm/最大トルク:51.0kgm(500Nm)/4500rpm/トランスミッション:8速オートマチックトランスミッション/0-100km/h加速:6.3秒/最高速度:243km/h/タイヤサイズ:255/60ZR18(前後・標準仕様)/メーカー希望小売価格:10,800,000円[消費税込]
※試乗・撮影車はオプション装着車
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。