ランドローバー フリーランダー2 海外試乗レポート

新型フリーランダー2はロングドライブでも疲れないサイズ、伝統の機敏さ、ずば抜けたオフ性能を持った賢い奴だった

ランドローバーといえばオフロードの王者のイメージが強いが、最新モデルはオンロードでも優れた走りを楽しめる。そんなランド一族の末弟に当たるのがフリーランダーだ。フリーランダーは兄貴達とは異なりFFベースのSUVで軽快な走りを持ち味としている。そのフリーランダーがすべてを一新してフリーランダー2となって、試乗会がモロッコで開催された。日本にやってくるのは07年の夏だが、早速、その概要をお伝えしよう

オフの王者、ランドローバーらしい理屈

デザインは一目でランドローバーと分かるボクシーで端正なもの。SUVらしい安心感があって、決して保守的に見えないのは好ましい。インテリアもランドローバーらしくシンプルで機能的に作られている。それに兄貴分のディスコ3よりもディテールにこだわっているのが面白い。

フリーランダー2のサイズは4,500mm×1,910mm×1,820mmと従来型よりも一回り大きくなっているが、これまでと決定的に違うのは全幅が約100mm広くなったことだ。その理由はこれまでの2.5リッター V6エンジンから、3.2リッター の直列6気筒エンジンを横置きにしているためで、実はフリーランダー2はボルボと車台を一部共用しているために、このレイアウトをとることが必要とされた。しかしここにもランドローバーらしさが盛り込まれている。横置きFFベースなら直6はV6よりもオーバーハングが短くなるで、悪路でのデパーチャーアングルが稼げるという利点だ。いかにもオフの王者、ランドローバーらしい理屈である。

実用的な居住空間は数字以上に広い

室内は広くなり、特に横方向の広がりがあって開放的だ。また高いアイポイントは1,910mmという幅の割には見切りがよく、取り回しが楽なのも特徴で、ランドローバーらしいボクシーなデザインの賜物でもある。また、全長はほぼ同じなのだが新型は背中にスペアタイヤを背負わなくなったので、実質的な室内長は長くなっており、言ってみれば成長したフリーランダー2は従来のディスカバリー2に近いサイズになった。

ラッゲージルームも大幅に拡大され、後席を使った状態で755リットル、畳んだ状態では1,670リットルと現フリーランダーより、それぞれ38%、27%の拡大になっている。実用的な居住空間は数字以上に広いのだ。

オンの俊敏さとオフの走破性うまく両立

さて、横置きの6気筒の3.2リッター エンジンは233PS／317Nmの出力を出すが、大トルクエンジンを横置きにしたクルマにありがちなトルクステアなどの悪癖はほとんどなく、素直なステアリングフィールと直進性をみせる。エンジンそのものも直6エンジンの美点を持ち、ストレートにスムースに吹け上がって気持ちがいい。トルク特性は低速回転から強いトルクが出ており、フリーランダー2にマッチしている。ランドらしいのはエンジンにも防水対策などが施されており、悪路でも音を上げないことだ。

このエンジンには6速ATが組み合わされており、オフロードでもギア比の選択枝が増えたので、より適切なギアで走行できる。もちろんオンロードでもハイギアを設定できるために燃費にも貢献でき、クロスレシオのギア比はワインディングロードでの俊敏さを楽しむことが出来る。 ハンドリングは低速から高速まで接地感が高く、かってのクロカン車のようなフラフラするような挙動は少しもないのは好ましい。セダンと同じ感覚で使うことが出来るのだ。

オフ性能はもちろんランドローバーだ。シャシー性能が相当向上しているのはもちろんだが、ディスコ3から採用されたテレイン・レスポンスが装備され、あらゆる路面でベテランドライバーの技量が簡単に堪能できることになったのが大きい。 これはクルマ側の性能＝エンジン、ギアボックス、センターカップリング、サスペンション＝を変えることで、路面に応じた走破性を容易に得られるという便利なもの。実際にオンロードから岩盤路、砂地までを走ったが、ダイアルを動かすだけで最適な走破性を簡単に手にすることができた。誰でもベテランの走りを堪能できる優れたアイテムである。

新型フリーランダー2はロングドライブでも疲れないサイズ、伝統の機敏さ、ずば抜けたオフ性能を持った賢い奴だった。日本で会うのが楽しみだ。