ホンダ モビリオ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:芳賀元昌
新しいファミリーカーのあり方を提案した、スモールサイズのミニバンとして誕生。
モビリオのネーミングで、昨年末に発売開始となったのが昨年の東京モーターショーに参考出品された「S・U・U」。爆発的ヒットを飛ばすフィットと同じプラットフォームを採用しながら、大人が7人乗れる室内空間を確保した小さなミニバンだ。この大胆な発想のパッケージングは、スタイルよりも室内空間に目を向けるユーザーに受け入れられ、月販5000台の目標販売台数に対してすでに予約待ちの状況という。ライバル車が存在しないことも人気に拍車をかけているのだろう。
ヨーロッパの路面電車をモチーフにしたというスクエアなフォルムは新鮮。フロント&サイドはホンダ車のイメージを残すが、リアフォルムは未来的な個性がうかがえる。
専用の1.5L i-DSIエンジンが、街中での乗りやすさを存分に味あわせてくれる。
7人乗りの小さなミニバンというと、おそらく誰もが走らないイメージを持ってしまうだろう。これまでの1.5Lクラスなら、確かに間違いではなかった。ところが街中へモビリオを連れ出すと、軽快な発進とキビキビした加速感を味わわせてくれたのだ。約1300kgのボディの重さなんて、まるで感じない。クルマの流れにスムーズにのった走りが楽しめる。この走行フィールは、新開発された1.5L i-DSIエンジンのおかげ。スペック的にはやや低い数値の最高出力66kw、最大トルク131N・mだが、ツインプラグによる2点位相差点火制御や低回転域で最大トルクを発生させることで、常用域の扱いやすさを生んでいる。ただ高速道路はあまり得意の場面とはいえない。100km/hを超えてからの加速は比較的緩慢だ。
足回りは、硬めのフィットに対して快適な乗り味を重視している。あらゆる場面での静粛性の高さも見逃せないところ。
全長4mあまりの空間なのに、ミラクルなシートアレンジを実現した。
モビリオの一番の魅力はパッケージングだ。まず乗り降りしやすい低床フロアと使い勝手の高い両側スライドドアを採用。さらに上部が大きく斜めに開く、新設計の前傾ヒンジドアを用いることで狭い場所での乗降性を高めている。
シートは、前席がゆったり座れる大きさを確保。5:5分割ベンチタイプのセカンドシートは、スライド&リクライニング機構によりくつろげる空間を備えている。驚くのはサードシートだ。座面とフロアこそ離れているものの、短距離ならば大人がちゃんと座れるシートを配置しているのだ。足元スペースは、 5人乗車時ならばどの席も余裕タップリ。7人乗車時は、セカンド&サードシートの足元は狭くなるが、足入れ性をよくすることで窮屈感を緩和している。全長約4mのボディサイズを考えると、ミラクルと呼ぶに相応しい居住性といえる。
アレンジメントで目を引くのは、サードシートを折り畳んでセカンドシートの下へ収納できるデイリーワゴンモード。セカンドシートを跳ね上げて室内高1360mmを生かせるトールモードなど。ラゲッジスペースもフレキシブルに変えられるのだ。
世界的に注目のスモールカーのカタチに、モビリオが新しい風を巻き起こした。
3列シートを持つ小さなクルマは、これまでトヨタのスパシオだけ。でもサードシートは完全にエマージェンシーと割り切っている。対するモビリオは、大人が座れるサードシートを目指した。ここが、この2台の大きく異なるところであり、販売台数に影響しているところだろう。
だがモビリオの誕生は、決して予想の範囲を超えていない。というのも、軽自動車がハッチバックからトールボーイへと主流のカタチが移行してから約10年の月日が流れているのだ。コンパクトカーが世界的に注目を浴びている中で、日本におけるミニバンブームを考えると、モビリオが打ち出したスモールミニバンの世界は存在してあたり前。これまで見逃されていたことの方が不思議だからだ。
モビリオの人気は、憧れやステータスを担っていたクルマが、ライフシーンに応じる道具へと変わった証。スタイルよりも機能でクルマを選ぶ時代が訪れつつある。
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