クライスラー イプシロン試乗レポート/渡辺陽一郎(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
紆余曲折をたどり、個性の強いあのモデルが帰ってきた!
“これがクライスラー!?”
と、ビックリしたのが新型「クライスラー イプシロン」。
クライスラーといえば高級車を手掛けるアメリカのブランドだ。小さくて可愛らしいイプシロンとは、イメージがまったく合わない。
イプシロンは、フィアットの傘下に入るランチアのコンパクトカー。中高年齢層のクルマ好きなら、80年代の中盤から90年代に日本でも人気を得ていた「ランチアY10」を覚えておられると思う。小さくてキビキビと走る楽しいクルマだった。
「ランチアY10」が1994年に強烈なデザインのフロントマスクを持つコンパクトカーに一新され、2002年に再度の変更を経て、2011年に現行型となった。
そしてフィアットとクライスラーは2009年に業務提携を行い、2012年にフィアットが出資比率を引き上げたこともあって、クライスラーを傘下に収めている。
この流れを受けて、右ハンドルの日本とイギリスでは、イプシロンがクライスラーのラインナップとして扱われるようになった。欧州では従来どおりランチアに属するが、今後は同ブランドの品ぞろえは縮小傾向になるという。
まさに紆余曲折をたどったイプシロンだが、日本ではクライスラーの新型モデルとして、「クライスラー 300」と併せて本格的に販売される。個性の強い車種とあって、クルマ好きには気になる存在ではなかろうか。
3ドアハッチバック風の外観に楽しいデザイン
最も注目すべきはボディスタイル。
全長が3835mm、全幅が1675mmのサイズは日本のコンパクトカーと比較しても小さな部類だが、丸みの強い外観はとても個性的だ。
リアフェンダー付近の張り出しは大胆で、前後のドアパネルにはスプーンで削り取ったようなラインが彫り込まれている。サイドウィンドの下端は後方に向けてせり上がり、リア側のドアノブはサイドウィンドの後端にブラック塗装で装着。3ドアボディのように見える。ドアノブの操作性は良好とはいえず、斜め後方の視界も損なったが、デザインはとても楽しい。
フロントマスクはメッキグリルと横長のヘッドランプが特徴。この造形はランチアのデザイン手法だが、エンブレムはもちろんクライスラーになる。
全高は1520mmと日本の立体駐車場の利用性を妨げない範囲で高めに設定され、フロントシートの頭上空間も十分に確保されている。
フロントシートのサイズやサポート性は平均的だが、座り心地は適度なボリューム感があって良好だ。バックレストの腰が接するあたりは少し硬く、乗員の体をしっかりと支える。
リアシートはさすがに窮屈だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2390mmだから、日本の軽自動車の平均水準を下まわり、足元空間が狭まった。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つに達しない、半分程度だ。
天井を後ろに向けて下降させたデザインだから着座位置も低く、膝が持ち上がりやすい。座面の沈み方も少なく、あまり快適ではない。
もっとも、外観を3ドアハッチバック風に見せたことからも分かるとおり、2名で乗車することを目的にしたクルマなのだろう。稀に短距離を3~4名で移動する程度なら、特に不満はない。
荷室のアレンジも単純で、広げる時にはバックレストを前に倒すだけ。広がった荷室の床には段差ができるが、バックレストを左右に分割して倒す機能は備わる。平均的な使い勝手は備えている。
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