ハイオク指定の輸入車にはレギュラーガソリンは入れてはいけないの?
- 筆者: 清水 草一
ハイオク指定の輸入車にはレギュラーガソリンは入れてはいけないの?
現行のアウディA6アバントに乗っているんですが、カタログはもちろん、購入時にディーラーの人から「燃料はハイオク」といわれ、当たり前のようにこれまでハイオクを入れておりましたが、実は日本のレギュラーガソリンは純度が高く、ベンツもBMWもレギュラーを入れても何の問題もないということを聞きました。
レギュラーで良いのなら経済的にも助かるのでそうしたいのですが、これ本当ですか。よろしくお願いします。(ガガ)
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
これはなかなか微妙な問題でして、申し訳ないんですが、断言することはできないんです。
エネルギー質量が高く着火しづらいハイオクガソリンを前提に開発されているエンジンに、着火しやすいレギュラーガソリンを入れると、エンジン内部では異常燃焼(ノッキング)が起きやすくなります。
そこで、ノックセンサーが着火タイミングをずらして調整するんですが、その分最高出力が落ち、燃費も落ちることがあるわけです。それについてはガガさん、おそらくご存知でしょう。
日本のレギュラーガソリンの純度が高いというのは、硫黄分が少ないという意味でしょう。硫黄分は、触媒にはダメージを与えますが、異常燃焼は主にオクタン価で決まるので、この場合は関係ありませんね。国産車なら、ハイオク仕様にレギュラーを入れ続けていても絶対に大丈夫です。
アクセル全開での最高出力は落ちますが、普通に走っている限り関係ないですし、燃費もほとんど悪化しません。
ただ、欧州車では、絶対に大丈夫だと言えないんです。パワーと燃費が落ちるだけでなく、深刻なトラブルの原因になる可能性があります。
ノックセンサーがついていない古めのクルマはもちろん、ノックセンサーはあっても圧縮比の高い最新の高性能エンジンだと、その傾向が強くなるようです。
これは賭けです。なぜなら、ヨーロッパではレギュラーガソリンのオクタン価が95でプレミアムが98。91というのもあるにはありますが、西欧では一般的じゃありません。つまり、日本のレギュラーガソリンの90というオクタン価は、欧州車には想定外なのです。
現行アウディA6のエンジンは、2.8リッター直噴と3リッター直噴スーパーチャージャーで、圧縮比はそれぞれ12と10。現代でも最高水準の高さです。
この、ギリギリの高性能を追求して開発されているエンジンに、レギュラーガソリンを入れ続けるのは、ロシアン・ルーレットではないでしょうか?
もちろん大丈夫かもしれないけれど、ダメかもしれない。ダメだった時は燃焼室内が溶け、最低でもエンジンオーバーホール、最悪の場合はエンジン載せ換えになります。
それでもレギュラーを試してみたいと思われるなら、せめてレギュラーとハイオクを半分づつくらい、セルフスタンドでブレンドして入れたらどうでしょう。私もフェラーリ以外の愛車ではしょっちゅうやってます(笑)。
ハイオクのオクタン価は100、レギュラーは90なので、ブレンドすると95になります。欧州の高性能車も、オクタン価が95あれば絶対大丈夫です。
もちろんディーラーに聞けば、「指定通り全量ハイオクを入れてください!」と叱られますけどね。
MJブロンディの「ひとりごと」
以前、中古車店を取材した時、「レギュラーガソリンを入れ続けたゴルフⅣは、5~6万キロで必ずエンジンがイカレるので、仕入れにとても気を使う」という話を聞きました。
その店は、ゴルフⅣのスタンダードなグレードだと、オーナーがハイオク代をケチっている確率があるので、クルマへの愛が深いマニアが好んで買う特別仕様車だけを仕入れていると言っていました。
すぐにはトラブルにならなくても、地雷原を歩き続けていれば、いつか踏む可能性があります。
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