【ブレーキ】ディスクブレーキとドラムブレーキの違いって?

  • 筆者: 清水 草一
  • カメラマン:オートックワン編集部
【ブレーキ】ディスクブレーキとドラムブレーキの違いって?
GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」 GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」 GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」 画像ギャラリーはこちら

【ブレーキ】ディスクブレーキとドラムブレーキの違いって?

愛車のカタログを見ていたら、自分のクルマにはドラムブレーキが使われていることがわかりました。ドラムブレーキと聞くと、ちょっと古臭いイメージがあるのですが、大丈夫なんでしょうか。

その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。

GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」
GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」GT-R specVに採用されている「カーボンセラミックローター」

実は、コンパクトカーや軽自動車は、今でも「前輪はディスクブレーキ、後輪はドラムブレーキ」という組み合わせが多いんです。ディスクブレーキの最大のメリットは、常に安定した制動力が得られるということ。

摩擦熱が発生する円盤部分が直接外気に触れているため、放熱性が高いのだ。高性能スポーツカーなどでは、100%4輪ディスクブレーキが採用されている。

ただし、ディスクローターを大きくすると重量もコストもかさみ、バネ下重量も大きくなる。ディスクローターの素材をカーボンセラミックなどの軽量素材にすると、安くとも一台分で100万円以上になったりする。

一方、昔ながらのドラムブレーキにも、捨てがたいメリットが残されている。ドラムの内側からその外周にシューと呼ばれる摩擦材を押し付けて制動力を発生させるドラムブレーキには、小型で軽量、かつ低コストで低エネルギー。ドラムブレーキには、“自己サーボ性”があるため、エンジンの力を利用しなくとも、軽い力で制動力を発揮することできるんだ。

今でも大型トラックやバスでは、前輪ドラムブレーキが主流。ドラムは駐車ブレーキにも向いていおり、4輪ディスクブレーキを採用するクルマでも、駐車ブレーキだけは小型のドラムブレーキを採用するクルマは多い。

ドラムブレーキの最大の難点は、熱がこもりやすいということ。高い速度からの急ブレーキや、長い下り坂などで連続して作動させると、ブレーキの効きが悪くなってしまう。ただ、フロントに重いエンジンやミッションを積むFFの小型車の場合、前輪ブレーキへの依存度が高く、後輪ブレーキの負担は小さいので、後輪はドラムブレーキでもまったく問題なく、コストの安さもあって今でも広く使われている、というわけですね。

清水草一の「ひとりごと」

ドラムブレーキの難点は、ブレーキシューの残量の確認が難しいこと。自分じゃ確認できないから、定期点検や車検の時にちゃんと診てもらいたいね。

一方、いま乗用車で使われている中で最も高価なディスクブレーキのディスク「カーボンセラミックローター」。

GT-R スペックVのそれは、交換に470万円もかかる。それが「あまりにも法外に高い!」ということから、GT-Rそのものの人気が落ちてしまった気がする。

なんせこの値段、1億円近いスーパーカー「エンツォ・フェラーリ」の場合の約400万円よりも高いわけで、“エリカ様の一言”みたいな雰囲気になってしまったんだよね。消耗品の値段が高いというのは、クルマ本体が高いよりも、ユーザーにとってフトコロが痛いことだしね。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

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