これがトヨタの最先端!今後採用される安全技術を探る/渡辺陽一郎(1/3)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:オートックワン編集部/トヨタ自動車株式会社
これがトヨタの最先端!今後採用される安全技術を探る/渡辺陽一郎
(左)自動運転研究実験車(主に一般道)(右)新型自動運転実験車 自動運転研究実験車(主に一般道) 自動運転研究実験車(主に一般道) 自動運転研究実験車(主に一般道) 自動運転研究実験車(主に一般道) 自動運転研究実験車(主に一般道) 新型自動運転実験車 新型自動運転実験車 LEDアレイAHS LEDアレイAHS/室内に設置された起動ボタン LEDアレイAHS/メーター内、グリーンの照射マークとAUTOの文字のロゴが光っていることで「LEDアレイAHS」が作動していることを表す 画像ギャラリーはこちら

トヨタが安全技術の搭載に向け、本格的に動き出した!

「今は自動ブレーキの安全装備が付いてないと、クルマを売りにくい」という声が、さまざまな新車ディーラーのセールスマンから聞かれる。

スバルが「ぶつからないクルマ」と題してアイサイトを大々的に宣伝。このCM効果もあって、ユーザーの安全装備に対する関心が高まった。これはとても良い傾向で、今では軽自動車やコンパクトカーにまで波及している。

2003年、トヨタは2代目ハリアーに「プリクラッシュセーフティシステム」を世界で初めて搭載した。自動ブレーキの機能はなかったが、ミリ波レーダーが前方を監視して衝突の危険が迫ると警報を発した。その後もミリ波レーダー方式は進化して、レクサスRCでは「レーダークルーズコントロール」と併せて6万4,800円で装着できる。

ブラインドスポットモニターも同価格で、車線変更の逸脱を警報する「レーンディパーチャーアラート」は、オートマチックハイビームと併せて3万7,800円と安くなった。ただし、人も見分けるカメラ方式がセットオプション価格で100万円を超えてしまうなど、選びにくい面もある。

ヴォクシー/ノア/エスクァイアに衝突回避の支援機能が設定されないのも気になるところだ。この3姉妹車は1ヶ月に1万8,000台もの生産規模であり、衝突回避の支援機能が装着されれば事故防止の効果も大きい。このように、トヨタの安全装備は少し出遅れた印象があった。

だが、2014年11月26日の報道発表ではトヨタの安全装備に明確な方向性が示された。当記事では、その内容についてレポートしたい。

2017年末までに、ほぼすべてのトヨタ車に衝突回避の支援機能を設定

Toyota Safety Sense

まずは前方に向けた自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能だが、今回、新技術としてセンサーに「ミリ波レーダー+単眼カメラ」を使うタイプ(Toyota Safety Sense P)と、「赤外線レーザー+単眼カメラ」を使うタイプ(Toyota Safety Sense C)の2種類が発表された。

[参考:(NEWS)トヨタ自動車、普及を目指した予防安全パッケージToyota Safety Senseを2015年に導入]

単眼カメラはどちらも共通で、システムを2種類に絞って搭載車種を増やすことでコストの低減を図る。2015年から装着を開始し、2017年末までに日米欧のほぼすべての乗用車とグレードに設定するという。

「単眼カメラ」と併せて2つのセンサーを使うのは、危険を検知する能力を総合的に高めるためだ。「ミリ波レーダー+単眼カメラ」は、コストが少し高いこともあってミドルサイズ以上の車種に使用される。(※2014年11月26日時点では、明確な搭載車種の発表はされていない)

「Toyota Safety Sense P」に搭載されているミリ波レーダー歩行者検知機能付衝突回避支援型PCS(Toyota Safety Sense Pに設定)

「ミリ波レーダー」は反射によって対象物を認識し、遠方の車両も検知できる。車両の認識速度に上限はなく、衝突までに最大約40kmは速度を下げられる。

ただしミリ波レーダーは、形状の認識能力が低い。そこで単眼カメラを組み合わせて、歩行者も検知できるようにした。歩行者を認識できる速度の上限は時速80kmで、自動ブレーキによって最大約30km速度を下げられる。

今回、報道発表と同時に安全技術を搭載したテスト車両のプレス向け試乗会も催された。

「ミリ波レーダー+単眼カメラ」を搭載したプリウスのテスト車両に乗り、時速30kmでコースを直進。駐車している車両の陰から等身大のダミー(人形)が出てくると、その直前で自動的に緊急ブレーキが作動した。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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