プジョー 206SW 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:原田淳
輸入車コンパクトクラス初のワゴンタイプ。楽しさと機能性を併せ持つ206SW登場。
ワゴンの持つ楽しさと機能性をさらに発展させたSWは、プジョーの新しいコンセプトが注がれた新感覚ワゴン。9月に国内デビューした307SWに続き、 206シリーズにもSWが加わった。ボディは、ハッチバックをベースにリアのオーバーハングを195mm延長。ホイールベース、全幅、トレッドはそのままだけど、全高がルーフレールを含めて35mm高くなっている。数値からもわかるように、プジョー伝統のワゴンである“ブレーク”よりもユーティリティが高いパッケージングというわけだ。
特徴は、206SWは2列シートの5人乗りモデルであることと、スポーツバージョンのS16が用意されたこと。3&5ドアハッチバックだけのラインアップとなる輸入車のコンパクトクラスにおいて、206SWがクラス初のワゴンタイプとなることだ。全長が390mm長く、3列シートを配置した7人乗りの兄貴分307SWとの差別化が図られている。
ストレスのない扱いやすいエンジンフィール。4速ATとのマッチングもよい。
206SWのXSには、ハッチバックのXS、307ブレークのスタイルと同じ1.6L4気筒DOHCエンジンが搭載される。軽快な加速フィールが身上のハッチバックXSに比べると、車重は約50kg重いが、ボディの重さはそれほど感じない。ストレスなく車速を伸ばし、ワゴンに相応しい扱いやすいエンジンフィールだ。307ブレークのスタイルはパワーに物足りなさが残ったけれども、180kg軽くなっているおかげで不満は感じなかった。
インテリジェント機能を持つ4速ATは、低速域でアクセルを踏み込むとショックが生じたり、ブレーキを踏む直前にシフトアップしたり、多少、思い通りにいかない場面はある。だけどエンジン同様、307ブレークのスタイルよりはずっとスムーズな変速だった。206SWの方が、マッチングがいいのだろう。
ワインディングロードでは、気持ちロールしながらのコーナリングを見せる。クルマの挙動もゆっくりしていて、ファミリーユースの味付けだ。でも乗り心地はややコツコツ感が残り、サスのキシミ音も聞こえてくる。このあたりはフランス車らしいというか、ちょっぴり安っぽさを感じるところかもしれない。
195mm伸長されたリアオーバーハングによって、フレキシブルなラゲッジスペースの活用が可能に。
自慢の室内空間は、前後席ともに必要十分な居住性を確保している。アップライト気味の着座姿勢ながら居心地のよさが感じられ、後席はハッチバックよりリアドアが大きくなったおかげで乗り降りもしやすい。ただサイドシルは意外に高く、降りるときに足を引っかけがちなのが気になった。
ハッチバックよりフロアが低く、荷物の載せ降ろしが楽にできるラゲッジは、5人乗車時で313Lの容量を備えている。ダブルアクションで分割可倒式の後席を倒せば1136Lまで拡大も可能。フロアネット、トノカバーの他、サイドの左右にメッシュポケットと伸縮性のストラップが標準装備され、実用性を高めている。さらにテールゲートは、小さな荷物を出し入れするとき、ハッチゲートを開けるスペースがないときに便利な、リアウインドゥだけの開閉もできる。操作性に優れた軽いタッチは電気式が奢られたおかげだ。
実用性は十分に魅力的。フランス車的なデザインと質感は、好みの分かれるところか。
ひとつだけ気になったのは、ステアリングのちょうど10時10分のところが平たい形状になっていること。女性の手には太くて握りづらく、このせいで低速域でのパワステの操舵力が重めに感じてしまうのだ。デザインに凝らず、単純なカタチにして欲しかった。
数少ないコンパクトカーのワゴンタイプとして誕生したSWは、もちろん走る楽しさではハッチバックに及ばない。けれども、実用性の高さは十分に感じられたし、プジョーのアイデンティティもちゃんと備わっている。期待に見合う仕上がりといっていいだろう。ただし、209万円の安い!と感じる価格を考えれば仕方ないのかもしれないが、インテリアは全体的に質感が若干劣る。特に、チルトハンドルやリクライニングのレバーといった部分には安っぽさを感じてしまう。
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