日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー(2/5)

日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー
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道のりはいまだ5合目

電気自動車用リチウムイオンバッテリーの最先端を行く日産自動車が、リーフに搭載して売り出したリチウムイオンバッテリーについて、その道のエキスパートとして、どの段階にあると見ているのか?

電気自動車用リチウムイオンバッテリーモジュール【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】電気自動車用リチウムイオンバッテリーモジュール(カットモデル断面)【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】私の個人的な見解として言いますと、5合目くらいかなというところです。

リチウムイオンバッテリーを積んだ量産電気自動車を市販するまでには、大きなハードルがありました。電気自動車についてよく言われるのは、走行距離が短いということですが、クルマという限られた空間の中にどれだけのバッテリーを確保できるかを検討していくうえで、エンジン車の改造では限界がある。

そこで、専用のプラットフォームを開発するとなると、大きな投資が掛かりますから、そこを経営者にどう理解してもらうか。専用プラットフォームと言っても、そこに載っている物、それが載っている場所も、エンジン車とは違う訳ですから、バッテリーだけでなく周辺の要素技術はじめ、衝突安全にしても、すべてが新規の開発になり、高い解析技術も必要になります。専用プラットフォームの実現はそう簡単ではないのですね。 それを乗り越えられたのが、一つのターニングポイントです。

一方で、現状ベストな電気自動車として売り出しましたが、年間6000~7000万台の新車が世界で販売されているなかで、電気自動車の利用が自分に適していると感じられるお客様の支持を得て、確かな市場占有率を確保し、それが次第に増えていく状況となってはじめて、電気自動車が市場に受け入れられたと言えると思っています。ですから、そこへ向けた道のりとしては、まだ道半ばかなというのが、個人的な感想です。

日産と三菱が、リチウムイオンバッテリーを搭載した量産電気自動車を市販しているという事実は大きい。他の自動車メーカーはまだ、量産車として市販していないのである。量産してみて、見えてきたことは何かあるのだろうか?

「リーフタクシー」神奈川県ではEVタクシーが営業中【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】「リーフタクシー」神奈川県ではEVタクシーが営業中 写真は神奈川県の松沢知事【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】技術的な面では、およそ事前に想定した通りです。

想定外の話をすれば…タクシーで使われているリーフがすでに10万kmを超えたことですね。これには驚きました。実験部でかなり厳しい走行試験を行い、耐久性は確認してきていますが、わずか1年ほどで10万kmを走ってしまうのは凄いことで、度肝を抜かれました。おそらく24時間フル稼働で、ドライバーが3交代くらいしながら、休みなく走っていなければ到達できない距離だと思います。

考えてみれば、電気代はガソリンの1/10くらいですから、タクシー会社の経営者としてみたら、使い切らなければ損だという感覚でしょう。このタクシーの走行距離からすれば、ほとんどが急速充電だけで走っていたはずで、これは、バッテリーにとってもっとも過酷で厳しい使われ方です。それでも、バッテリー劣化は78%で、走行距離並の劣化度合いです。

また、トラブルは何も起きていません。信頼性、耐久性の作り込みを、リーフ発売の1年半くらい前から、生産と開発が一緒に、品質の安定化に取り組んだ成果と言えます。

急速充電の場合、多くはまだ実証実験の名目から無料で充電できる状況にある。したがって、家庭で普通充電する以上に、このタクシー会社の電気代は安くあがっているはずだ。そうした抜け目ない経営が、市販電気自動車のまたとない信頼・耐久性の実証の場となっている。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

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