衝撃!DeNAが「自動運転タクシー」実現に向け合弁会社を設立! ~DeNAは自動車業界の“黒船”となるのか~

衝撃!DeNAが「自動運転タクシー」実現に向け合弁会社を設立! ~DeNAは自動車業界の“黒船”となるのか~
DeNAオートモーティブ 事業発表会 DeNAオートモーティブ 事業発表会 株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 中島 宏氏 (左)株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 中島 宏氏/(右)株式会社ZMP 代表取締役社長 谷口 恒氏 (左)株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 中島 宏氏/(右)株式会社ZMP 代表取締役社長 谷口 恒氏 株式会社ZMP 代表取締役社長 谷口 恒氏 自動運転技術によるロボットタクシー構想の実現に向けZMP社とのJV設立 株式会社 DeNAロケーションズ 代表取締役社長 津島越朗氏 無料カーナビアプリ「ナビロー」ロゴ 画像ギャラリーはこちら

DeNA(株式会社ディー・エヌ・エー)が自動車事業に参入するという、衝撃の発表がなされたのは5月12日。自動運転技術開発会社のZMPと組んで、ロボットタクシー(自動運転タクシー)事業の実現に向けた合弁会社を設立するというものだった。

それが今日、5月28日に行われたDeNAオートモーティブ事業発表会で明らかになった。

株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 中島 宏氏

なぜ、DeNAがクルマを?

多くの人が疑問に思っているだろう。これについてDeNA執行役員の中島宏氏は「国全体を左右する巨大産業だからこそコミットしておきたいという気持ちと、クルマの世界もハードウェアからソフトウェアへの移行という新しいステージに入りつつあるという2点が大きい」と語った。

引き合いに出されたのは、1960年代のモータリゼーション。当時はクルマだけでなく、レストランやスーパーマーケットなど、周辺産業を含めた発展があって、カーライフ全体が生活を豊かにしてきた。今回も同じ流れを感じており、社会構造を伴った成長を予想しているので、チャンスがあると決断したようだ。

しかしDeNAはクルマ作りのノウハウがない。そこでZMPとの合弁会社設立となった。中島氏によれば、他社との提携はDeNAのお家芸とのこと。

株式会社ZMP 代表取締役社長 谷口 恒氏

一方、ZMP代表取締役社長の谷口恒氏は、今回のプロジェクトはスピードが大事であり、実行力のあるDeNAを選んだと語った。

ロボットタクシーはZMPが暖めていたアイディア。谷口氏は「数年前から米国Uber(ウーバー)などが実施しているITタクシーの自動化を考えていました。交通弱者と呼ばれる高齢者や身障者に移動の自由を与え、遠距離通学の生徒に楽をさせてあげたかったのです」と考えを明かした。

中島氏も、高齢者や身障者などの移動を楽にするとともに、その時間を楽しくしていくという「2つの楽」をロボットタクシーのポイントに挙げた。自動運転技術の競争はそろそろ終わりとなり、それ以降はサービスの競争になると予想。その点でインターフェースやエンタメに強みを持つDeNAはグーグルに負けないとアピールした。

具体的には、タクシー事業として必要な部分は新会社、自動運転はZMPが担当。ただしタクシー事業について、全部を担当するか、アライアンスやフランチャイズという形態になるかは、国や地域の実情に合わせて決めていくという。

自動運転技術によるロボットタクシー構想の実現に向けZMP社とのJV設立

実証実験はすでに始めている。ZMPでは昨年から愛知県で自動運転の公道実験を開始していて、現在は2㎞の距離を最高速度60㎞/hで走っているという。現状は法規の関係でドライバーが乗っているけれど、技術的にはドライバーレスでも安全に走れるとのこと。気になる事故時の責任問題でも、販売車両よりタクシーやシェアリングのほうが責任分担はシンプルになるそうだ。

今後は特区でのデモサービスに移行し、それを正式なサービスに発展させ、 オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の東京でロボットタクシーたくさん走らせるレベルにまで持っていきたいと中島氏は目標を口にした。

無料カーナビアプリ「ナビロー」ルート案内画面
無料カーナビアプリ「ナビロー」ロゴ

この日はもうひとつ発表があった。子会社DeNAロケーションが手掛けた、スマートフォン向け無料カーナビアプリの「ナビロー」だ。アンドロイド版は今日から、iOS版は近日中に提供するという。

同様のサービスはすでに他社が展開しているけれど、パケット通信量を減らす特許技術ビーラインテクノロジー、カラフルなハニカムスタイルの使いやすいインターフェイス、背面カメラを活用したドライブレコーダーやARモードなど、斬新な機構が満載。さらにエンターテインメントを得意とするDeNAらしく、方言や著名人の声による音声案内も、この夏から実施していくという。

一方でナビの基本機能も、地図の自動更新、VICSによるリアルタイム渋滞情報、交差点車線案内など充実。簡略版ナビではなくスマホならではのナビを目指したという説明に納得だ。

IT企業によるクルマ関連の発表会ということで、既存のクルマを敵に回すような内容かと思ったけれど、実際はそうではなかった。クルマの未来に大きな可能性を持っているからこそ、この世界に挑んできたことが分かり、うれしくなった。

ロボットタクシーの成功には、政府や国民なども関係してくるだろう。理解するのに時間が掛かりすぎるようだと、グーグルなどに先を取られてしまう。日本という国が試されるプロジェクトと言えるかもしれない。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

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