【カタログ燃費】メーカーが公表している燃費って本当なの?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:オートックワン編集部
【カタログ燃費】メーカーが公表している燃費って本当なの?
よく、クルマのカタログなどを見ると「このクルマは燃費○○キロ」というデータを目にします。
それは、ビックリするくらい高い数字のことが多いのですが、あんな燃費は本当に出るのでしょうか。最近は、別の数字も作られているようですが、いったいどっちが正しいのでしょう。だいたいあの数字って、信用していいのでしょうか。
その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。
メーカーが公表している「カタログ燃費」には、日本では2種類あって、ひとつは一般的な「10・15モード」というヤツだ。
これは、日本国内での一般的な走行モードを想定して決められたものなんだけど、なにせお役所仕事だから、実際の交通の流れよりずっと遅かったり、実際に道路を走るんじゃなくローラーの上だったりして、実態とはかなり違っている。
しかも国産車の場合、このカタログ燃費でいい数字を出すために最初からクルマを合わせこんで作るのと、専門のスペシャルドライバーがいて、シューマッハ並のテクニックを駆使してものすごい数字を出してしまう。
国産車の場合、10・15モード燃費に対する実際の燃費は、3割ちょっと割り引いて考えるとちょうどいい。この数字が、あまりにも実態とかけ離れているということで、最近「JC08モード」というのが新設された。
これは、10・15モードよりは実態に近い条件なので、10~15%くらい低い数字になる。それでもやっぱり特殊条件に変わりないので、この数値でコンスタントに走るのは不可能に近い。
結局、どれだけ実態に近い条件を設定し直そうと、ローラーの上という条件とスペシャルセッティングやスペシャルドライバーは消せないから、国産車のカタログ燃費と実際の燃費との乖離は決して消えないだろう。
でも、「10・15モードなら3割ちょっと引き、JC08モードなら1~2割引きくらい」という原則さえ覚えておけば、特に不便はないんだ。
輸入車の場合、日本の燃費モードは考えずに開発されているのと、スペシャルドライバーがいないことで、国産車よりは実態に近い数字になっている。10・15モードでも、1~2割くらい割り引いて考えればいい。
清水草一の「ひとりごと」
国産車のカタログ燃費がまるで夢物語なのは、この業界では以前から常識だったけど、中でも夢のまた夢だったのが、ハイブリッドカーのカタログ燃費だ。
他のクルマに比べても明らかに実態との乖離が大きかった。たとえば初代プリウスの10・15モード燃費はリッター30キロだけど、実際にはリッター16キロくらいしか走らなかった。だから僕は、「あまりにもウソッパチだ!」と思っていたんだ。
ところが実際に自分で買ってみて、ようやくその理由がわかった。ハイブリッドカーには、普通のガソリン車とはぜんぜん別の、特殊な燃費走行テクがあったんだよ!
詳しく書くスペースはないから割愛するけど、それを使えば、僕でも都内の一般道で、リッター20キロが出せるんだよね。リッター20キロ出せれば、カタログ数値の3割3分引きということになる。
それにしても、カタログ燃費のスペシャルドライバーに会ってインタビューしてみたいよ。いったいどんなトレーニングをしてるのかって。人間離れしたテクニックだよ・・・。