【燃費】軽自動車は本当に燃費が良い?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:ダイハツ工業株式会社
【燃費】軽自動車は本当に燃費が良い?
軽自動車というと、即「エコカー」と言われます。
ニュースなどでも「燃費性能に優れた軽自動車が云々・・・」という表現が多用されています。
つい、軽自動車=燃費がいい、と思い込んでしまいます。でも、「軽自動車の燃費はそれほど良くない」という噂も聞きます。まさか!と思いますが、どちらが本当なのでしょうか。
その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。
これは、どちらも正しいと言える。今売られている軽自動車の多くは、十分燃費がいい。でも、ちょっと前までの軽自動車は、決して燃費は良くなかった。
軽自動車の燃費が、フィットやヴィッツなど普通車のコンパクトカー並みにまで向上したのは、つい数年前のことなんだよ!
軽自動車のエンジン排気量は、660ccに制限されている。これは、車両の重さに対してちょっと小さすぎる。「小さい方が燃費がいいはずじゃ?」と思うかもしれないけど、さにあらず。エンジンには一番効率的な大きさというのがあるんだ。
たとえばキミが、荷物を運ぶとしよう。欲張っていっぺんに10個を持ち上げて汗だくになって運ぶのと、2個づつ5回に分けて軽々と運ぶのじゃ、筋肉の疲労度は10個いっぺんの方が高いって気がするだろ?それと同じだ。
最近の1トン近くに達している軽自動車を動かすには、本来、1,000ccくらいのエンジンの方が効率はいいんだ。660ccじゃ、頑張って回転を上げて走らないと、交通の流れに乗れなかった。「頑張る=燃費悪化」。頑張らないと走れない非力な軽は、燃費が悪かったんだ。
でも、最近の軽自動車は、そこを技術革新で乗り越えた。排気量が小さなエンジンでも、低い回転で頑張らずに力(低速トルク)が出るように改良を重ねて、燃費を改善したんだよ。
特にスズキ、ダイハツ、ホンダの3社の軽は、フィットクラスと同程度の実用燃費で走ってくれるようになっている。ただし、それを上回るほどのものじゃない。
「軽はちっこいから一番燃費がいいはず」というのは、まだ誤解の範疇だ。軽自動車をもっと小さくして、重さが660kgくらいになれば、フィットやヴィッツに勝てると思うけど、衝突安全性の問題や、広々とした室内を求めるユーザーの意向もあるからね。
清水草一の「ひとりごと」
10年くらい前、営業で軽に乗ってたヤツは、「燃費最悪でした!」って言う。
営業車だから燃費なんか気にしないし、加速が悪いから常にアクセルベタ踏み。燃費はリッター6~7キロくらいしか行かなかったそうだ。
昔の軽でそういう使い方すると、ビックリするくらいガスを食ったんだよ。だから、俺はずっと軽に否定的だったんだ。
でも、状況は変わった。俺は最近まで、ダイハツ エッセの最廉価バージョンの5速マニュアル車に乗っていた。ダイハツの、ロングストロークタイプの新型660ccエンジンは、低速トルクが断然太くなって、いち早く実用燃費を大幅に向上させていたからね。
燃費は良かったよ。だいたいリッター17~21km/L。これは、ヴィッツやフィットと同じレベルだ。でも、ちょっと飛ばすとガックリ燃費が落ちるんだよね。
高速道路で追い越し車線の流れに乗って頑張ってみたりすると、いきなりリッター12km/L。軽のエンジンは力に余裕がないから、頑張らせると途端に燃費が大きく悪化するんだ。
この点では、フィットクラスの普通車に全然かなわない。軽自動車が総合的に向いているのは、低速環境、つまり近所のチョコチョコ乗りだ。税負担の安さは圧倒的だし、室内の広さも性能も燃費も適度だから、近所のゲタとしては、軽はとても優れている。