やはり「ル・マン」には魔物がいる!トヨタとポルシェの死闘で感じた残り3分の悲劇(1/2)
- 筆者: 山口 正己
- カメラマン:トヨタ自動車/ポルシェジャパン/アウディジャパン
84回目のル・マン24時間レースが終わった。最後の最後までレースを制圧していたトヨタにとって、終わったとひと言で片づけるにはあまりに重い結末だった。
ゴールまで6分。耐久レースらしくいくつかのつまずきを乗り越えて最終スティントを快調に飛ばして、ゴールするだけだった「#5 トヨタTS050 HYBRID」のコクピットから、アンカーを務めていた中嶋一貴の悲痛な声が世界中に伝わった。
「I have NO POWER! I have NO POWER!」
この「NO POWER」は、単に、トラブルでエンジン出力を失ったことだけではなく、30年来の夢を実現するためのすべての力がなくなったことを訴えているようで実に切なかった。
突然の異変で事態が掴めなかった中嶋一貴は、コクピットからピットに「なにか操作したのか」と訊いたという。
そして、残り3分、ピット前のストレートで止まった「#5 トヨタTS050 HYBRID」を「#2 ポルシェ919 Hybrid」が抜きさって、ポルシェが18度目の勝利を記録したのだが、今年のル・マンには、今までなかった『時代の変革』とでも呼びたくなる別のなにかを感じた。ル・マン24時間は、新たな時代に入ったようだった。
P・T・Aの戦い
今年のル・マン24時間は、去年と同じように、P・T・Aの戦いが注目を集めていた。
ポルシェ、トヨタ、アウディの三つ巴というやつだ。
ル・マンは、世界耐久選手権の中心として、いつの時代も耐久レースのマシンの形に大きな影響を及ぼしている。それは、ル・マン24時間の舞台が、長いストレートと13km以上に及ぶ半ば公道の特殊なコースで行なわれるからだ。
1960年代終盤に、長いストレートでの空気抵抗を減らすためにお尻を長く伸ばしたロングテールが流行したように、時代によって、特徴的なフォルムが我々の目を奪ってきた。
車両規則の影響もあるが、数年前からメインカテゴリーのLMP1では、屋根のないオープン・ボディが姿をひそめ、まるでフォーミュラカーにボディをかぶせるようなタイプのマシンが幅を利かせるようになり、クローズド・ボディが主流になった。今年もポルシェ、トヨタ、アウディの3巨頭が、それぞれ特徴的なフォルムのマシンを登場させた。
大雑把にいうと、スピーディなポルシェ919 Hybrid、獰猛なアウディR18 e-toron quattro、コンベンショナルなトヨタTS050 HYBRIDといったところか。アウディとトヨタは、ノーズ部分がフォーミュラカーを思わせる近年の流行通りのフォルムだが、3巨頭ともそれぞれル・マンで勝つことをターゲットにしたマシン作りを伺わせていた。
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