ブリヂストン 新世代ランフラットタイヤ 試乗レポート(2/2)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:株式会社ブリヂストン
ブリヂストン 新世代ランフラットタイヤ 試乗レポート
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マイナス面が大きく改善されたランフラットタイヤ

新タイヤのテストは、イタリア ローマ郊外のブリヂストン プルービンググラウンドと、その周辺で行われた。

テスト車両はBMWの5シリーズで、装着サイズは245/40R18。ちなみに、BMWは量産メーカーの中でもランフラット化に最も熱心なブランドで、1シリーズや3シリーズ、Z4などからは、すでにスペアタイヤ パン(置き場)すら廃止済みという状況だ。

各種路面を従来型タイヤと乗り比べた際の印象の違いは、歴然としたものだった。

滑らかな路面ではスムーズな乗り味を提供してくれるものの、ひとたび大きな“ひび割れ路”や継ぎ目に差し掛かると、強い衝撃を直接的に伝えてくるのが従来型。

一方、新型ではそうした路面が悪化した場合の快適性の低下が、誰にでもすぐに理解出来るレベルで格段に少ない。

「ショックの“直接度”がグンと下がった」と、そう表現しても良いだろう。

片側後輪の空気を全て抜いた体験走行も実施。無理を承知で、タイトなターンを敢えて速度を落とさずに曲がろうとすると、荷重の掛かった“パンクタイヤ”はさすがにズルッとグリップを失う。

が、それでもホイールが直接地面に接するような事もなく、通常走行は十分可能。そんなランフラットタイヤの使用は、各輪の空気圧低下をドライバーに知らせるモニター装置の装着が大前提。走行性の良さに、パンクした事に気付かず走行を続け、結局バーストのような大トラブルに発展する事を防止するためだ。

例えパンクをしてもその場で立ち往生する事がなく、スペアタイヤが不要となるために軽量化やスペース効率の向上を可能とするランフラットタイヤ。

しかも、これまで懸案されてきた快適性におけるマイナス面の影響が大きく改善され、コストも一般のタイヤからさほど大きく変わらないとなれば、「どうして全てのクルマがそれを標準で採用しないのか?」とそんな疑問が現れるのも当然だろう。

しかし、こうしたモデルも決して“魔法の万能タイヤ”ではないのも事実。

例えば、パンク後には修理もしくは交換が必要なのは通常タイヤと変わりはないし、前述のようにその使用には空気圧モニターを装着している事が必須の条件。

また、現状では通常タイヤに対して3%ほどの転がり抵抗の悪化が見られるというし、前述のように改善著しい乗り心地も、走行状況によってはやはり通常構造のタイヤに一歩譲るという場面も残るものだ。

そもそも、「いつ起きるとも分からないパンクのために、わざわざ“特殊なタイヤ”を履くのは準備過剰」という考え方もあるだろう。確かに、現状ではランフラット構造のタイヤを履こうとすれば、その選択肢は限られてしまう。

結局、スペアタイヤを積むか修理剤で対応するか、それともこうしたランフラット構造のタイヤを選ぶのかは、ユーザーの好みによるところも大きいかも知れない。

それでも、今回の新技術の採用が“ランフラット派”の割合をより増やすであろう事は確実だろう。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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