マクラーレン MP4-12C SPIDER 試乗レポート/桂伸一(2/2)
- 筆者: 桂 伸一
フォーミュラーカー感覚のステアリング操作
「MP4 -12Cスパイダー」に乗り込み加速。ひとつのコーナーに高い速度で進入する(コースは過去に走り慣れている)。もう、それだけですべてが判ってしまった。まさにクーペと同じ“人車一体感”がある。それはクーペでもスパイダーにしても、ボディの違いによる走行性能や操縦性、乗り味にまったく変化がないという意味である。
ステアリング操作に対して素直に、いや、この場合は予想以上に“激的”な姿勢の変わり方に感動する。
例えばレーシングスリックタイヤを履き、ウイングによる空力で“路面に押さえ付ける力=ダウンフォース”を受けるフォーミュラーカーがこんな感覚。スパイダーは、そういったステア操作に対して路面を掴んで離さない動きなのである。
コーナリング中の姿勢は左右の傾き、ロール量が少ない。通常この場合、サスペンションは硬くして姿勢を平行に保とうとするが、「MP4-12C」はスパイダーもクーペも路面に対して突っ張らずソフトに捉えながら、ロールは少ない量に抑えられている。これはプロアクティブサスペンションの威力である。
アクセルの踏み過ぎによりコーナーの外へはらむアンダーステア。逆に内へ巻込むオーバーステアは、エンジンの制御と4輪ブレーキを独立制御してドライバーの意思に忠実な反応を示す。その制御の仕方が実に巧妙で繊細。まさに“痒いところに手が届く感覚”で姿勢を安定させるところも従来のスーパーカーを上回る。
“ドリフトシーン”を撮影したい。そう伝えると「待ってました」とばかりにスタッフの手がセンターコンソールに伸びる。ESCスイッチを長押ししてからOFF。ハンドリングとパワートレインを最強の走り仕様、“トラックモード”にした上で、やはり長押し。
これで625ps/600Nmの出力が、何の規制も制御も受けないままアクセルの動きに忠実に伝達されると、それまでの“従順”さはどこかへ消え、ターボの底力に押されてアンダーステアもオーバーステアも発生するじゃじゃ馬に変身する。
アンダーステアはアクセルを戻す以外に方法はないが、オーバーステアは一気に振り出したリアに対して、カウンターステアが的確に当てられるかでコントロール性は高まる。
もちろん、的確に操作できれば…の話だが。
アメリカンV8を連想させる重低音をダイレクトに感じられる
アスカリでは5速240km/hからフルブレーキングと同時にステアリングを切り込む、というシーンでフルブレーキング時の安定性を実感。ノーズの沈み込みが少なく、リアの浮き上がりの少なさは、リアスポイラーが52度の角度に起きあがる“エアブレーキ”の効果も絶大。もちろんカーボンセラミックによる減速Gの高さにもよるが、姿勢安定性はプロアクティブサスとエアブレーキによるものだ。
F1と同様にカーボンファイバーをシャーシに使うモノセル方式は、シャーシ部分だけで必要な強度や剛性を確保している。本来、クーペよりもスパイダーはボディ剛性が劣るものだが、軋み音も含めてその違いはまるで感じさせない。
スパイダーは、キャビン後方のリアウィンドを下げることで、V8ツインターボエンジンの存在をダイレクトに感じさせる鼓動と迫力のサウンドが室内に流れ込む。
低回転域ではゴロゴロとアメリカンV8を連想させる重低音が、4000rpmを境に高周波へと変わり、8500rpmの回転リミットまで突き抜ける。それを後方からダイレクトに感じられるところがスパイダーの魅力のひとつであり、気分によってリアウィンドを上げトップを閉めれば、クーペと変わらない雰囲気に浸れる。
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