プジョー 406 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:芳賀元昌
607用のエンジンを搭載してATと差別化。307のMTユーザーのランクアップモデルにあたる。
モデル末期にさしかかった406に新たなグレードが投入された。2.2Lエンジンを積む5速MTのセダンで、しかも左ハンドル仕様。とても日本では販売台数が見込めそうにない406スポーツだ。一部のマニアック向けのこのクルマは、個性を主張するだけあって単なる正統派セダンではない。本国では607のベーシックモデルにも使われる可変バルブタイミング機構を備える4気筒エンジンを搭載。5速MTも同じく607の2L用を組み合わせている。鼻が軽く軽快に走れることと、低回転で最大トルクを発揮することを大切にしたからだ。
実際、406スポーツを走らせると、フラットトルクの加速感はスムーズそのもの。MTの操作は必要だけど、ラグジュアリ志向の乗り味に、キビキビしたハンドリングが加わった印象だ。ハイウェイのレーンチェンジ、連続するコーナーでは、グリップ感の高いしなやかなフットワークを見せてくれる。マニュアルでドライブすることを前提にした、運転する楽しさを味わわせてくれる数少ないセダンといっていい。
317万円の価格は、装備がV6に匹敵していることを考えればリーズナブルな設定。これまで307のMTユーザーは、魅力的なモデルがないためアルファや BMWに以降していたそうだが、406スポーツの登場でユーザー離れを阻止することができそうだ。限られたユーザーに対しても、きめ細かなモデルレンジを投入するプジョーならではのラインアップではあるが、この方針が8年連続年販記録の更新につながっているのだろう。
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