ジョン・レノンが所有していたロールス・ロイス、ロンドンで一般公開
ロールス・ロイスは、ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発表から今年が50周年となるのを記念し、かつてジョン・レノンが所有していたことで知られる色鮮やかなロールス・ロイス ファントムVをロンドンに里帰りさせ、一般公開することを発表した。
現在カナダのロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館が所蔵するザ・ジョン・レノン・ファントムVが、カナダからロンドンへと里帰りし、ロールス・ロイス ザ・グレート・エイト・ファントム展で展示される。同展の会場には、アルバムが発表された1960年代後半、ジョン・レノンがこのファントムでよく訪ねたボンド・ストリートのオークションハウス「ボナムズ」が選ばれた。
ザ・ジョン・レノン・ファントムVは世界中から集められた過去7世代のファントムのひとつとしてボナムズにおいて、7月29日から8月2日まで一般公開される。
ザ・ジョン・レノン・ファントムV
1965年6月3日にジョン・レノンのもとに特別なものが届けられた。バレンタインブラックのロールス・ロイス ファントムVだ。ジョンはその後、「私は変わった億万長者になりたい」と語ったが、ファントムはその夢を叶える大きな一歩になった。このファントムVは、ジョンが本格的なロックスタースタイルにカスタマイズしたもので、後席にはシートの代わりにダブルベッドとテレビ、電話、冷蔵庫が設置されたほか、フローティング(縦置き)レコードプレーヤーとカスタム・サウンドシステム(外部拡声器を含む)を備えていた。
その後1967年4月、革新的なアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のレコーディングが行われるさなか、ジョンは、イギリス・サリー州のコーチビルダー、JPファロンに対し、このファントムに新しいペイント仕上げを施すよう依頼したのである。装いを新たにしたファントムは、「サージェント・ペパーズ」の世界同時リリース日(6月1日)より数日前に発表され、まるで同アルバムのコンセプトの一部をなしているようであった。
新しい配色はしばしば「サイケデリック」と呼ばれるが、実際その色彩はイエローを基調とするもので、「サージェント・ペパーズ」のレコードジャケットと軌を一にするものだった。しかし、よく見ると、渦巻きはでたらめなものではなく、少数民族ロマ族のキャラバンや運河のはしけにあしらわれている花唐草文様で、ルーフには占星術の十二宮サインのようなマークが飾られている。
このファントムVをジョンは1969年まで頻繁に使用していた(もう1台、目立たないオールホワイトのファントムVも所有していた)。ジョンは塗装しなおす前のこの車を1965年のザ・ビートルズMBE(大英帝国五等勲爵士、団員)叙勲時に使用しただけでなく、カスタムペイント後の1969年にも、ベトナム戦争などに抗議して同勲章をバッキンガム宮殿に返還するのに使用した。
1970年にはジョンの米国移住とともに大西洋を渡り、ザ・ローリング・ストーンズやボブ・ディラン、ムーディ・ブルースなど他のロックスターの送迎用として貸し出された。その後しばらく使用されなかったが、1977年にロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館(カナダ・ブリティッシュコロンビア州ヴィクトリア)へ寄贈された。
ロールス・ロイス「ザ・グレート・エイト・ファントム展」は7月29日から8月2日まで、ロンドン・ニューボンドストリートにある国際大手競売場・ギャラリー「ボナムズ」にて開催される。
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