軽自動車の技術を取り入れた「トヨタ パッソ」の実燃費を測ってみた【燃費レポート】(5/5)
- 筆者: 永田 恵一
トヨタ パッソ 燃費レポート/総評
トヨタ パッソ&ダイハツ ブーン 総合実燃費/ 20.2km/L
◆総合実燃費
ダイハツ キャスト NA/21.4km/L
スズキ イグニス/21.0km/L
1.3リッターエンジンを積むコンパクトカーの平均値/18~20km/L
トヨタ パッソ&ダイハツ ブーンの実燃費は、同等の車格のクルマに比べても常時20km/L近くと、納得できる結果といえるだろう。
また、率直なところ筆者の期待値が低かったということもあるが、いくつか不満はあるにせよ全体的な完成度は予想以上に高かったのも印象的だった。
新型パッソ&ブーンはダイハツがトヨタの完全子会社となる前にほぼ完成していた車ではあるが、このクルマを通して今後のダイハツの新型車にも期待が持てたことも意外な発見であった。
しかし、パッソ&ブーンを含めた小さめなコンパクトカーのラインナップを見てみると、パッソ&ブーンであれば価格は約115万円からであるが、実際には自立自動ブレーキなどこれから車を買う際に欲しい装備を考えると、価格は130万円程になってしまう。
そんなことを考えると、NAエンジンを搭載して自立自動ブレーキが着く軽ハイトワゴンが130万円したとしても、維持費や処分する際の査定まで考えると、総合的には軽自動車のほうが安いという結果的になってしまう。
また、軽乗用車の中ではハイエンドに近い軽ハイトワゴンのターボ車が150万円程度するとしても、長い目で見れば同等の出費と考えるとパッソ&ブーンには5人乗れることくらいしか明確なメリットはなく、イメージなども含めてどうしても軽乗用車の方が魅力的に感じてしまう人は多いのではないだろうか。
また平均価格が145万円程度の標準的なコンパクトカーと比べても、15万円足せば動力性能の余裕、広さなど価格差以上に得るものがあるのも事実で、結局はパッソ&ブーンを含めた小さめのコンパクトカーは強烈な「安さ」という売りがない限り、中途半端な存在となってしまうのは否めない。
基本性能が予想外に良かっただけに、個人的には「カローラ店のコンパクトカー」だけに埋もれさせてしまうのはもったいないと思う。
勝手なことを言わせてもらうならば、ここ数年参加者が増えているトヨタ主催の、今年から名前が変わったトヨタガズーレーシングチャレンジラリー(旧TRDラリーチャレンジ)で底辺となる初代ヴィッツの1リッター車のクラスが今年で終了となるのだが、その後継となるクラス、ベース車に同じ1リッターのパッソ&ブーンを使うのはどうだろうか。
MTがあれば望ましいが、MTでなくとも間口を広げる意味でCVTのみでもいいから、装備は必要最低限でその代わりロールバーなどモータースポーツに必要な最低限の装備を付けて125万円程度といった仕様があれば、数は売れなくてもパッソ&ブーンのアピール、イメージ向上と考えれば決して高い投資ではないように思うのだが・・・。
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