「さすがランボルギーニ!」のスペックながら、一般域での扱いやすさに注目!ウラカンRWDスパイダー試乗レポート
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
“普通にツカう領域”においては、なんだかいまいちなことが多い「スーパーカー」だが・・!?
大きな声では言えないからこっそりここにしたためることにするけれど、自動車ジャーナリストなんつー大層な名刺を持ち歩いていながら、実はスーパーカーと言われるものが、意外にもちょっとニガテだったりする私である。
なぜかっ!!ズバリ運転しにくいから!
ああ、いかにも日和った理由・・・評論家が聞いて呆れるわ、と思うでしょ?
ちゃうちゃう、ちゃいます、ちゃんと理由があるんですってば。
自分の名誉を死守するため、全力で言い訳・・じゃなくて弁解・・・じゃなくてフォロー・・・・ええいもうなんでもいいや、しておくと、大体においてスーパーカーってものはスーパーカーであるからして、ほとんどのクルマがトルクの花道を超高回転域に持ってきている、というところにこそ問題があるから、なんである。つまり、サーキットでビャ~っと3速~4速以上を使ってアクセル踏みまくり、ブレーキ使いまくり!みたいなシーンにおいては、確かに比類なき最高のパフォーマンスを提供してくれるし、それは最高に素晴らしいもの。
だけど、低回転域、つまり日本の法定速度であるところの一般道速度域や駐停車スピードなんていう、いわゆる“普通にツカう領域”においては、なんだかいまいち、なことが多いんである。発進からしてローギアでカクカク、アクセルはスカスカ。1~2速あたりは低速ならシフトラグも甚だしくってぴょこぴょこ。なんやこれは!と思わずイラついてスロットルを煽ったら今度はいきなりぶわっとトルクが発生してあわやホイールスピン!みたいな、そういうプラス方向にもマイナス方向にも一抹の持ち余り感をもたらすクルマに、けっこうな確率で遭遇する。
マニュアル車ならまだその辺、自分でシフト選択の塩梅を加減すりゃなんとかなるんだけども、今やスーパーカーでも主流となった2ペダル式のモノはたとえパドルシフトを駆使したところでなんとなくしっくり来ないこともあって、ああ、やっぱニガテやわぁと街乗りでガッカリしちゃうことも多かったのだ。
しかしコレはすごい。なんならだいぶ感動してしまった。これなら普段から乗り倒せるし、その辺をただ転がすだけでもストレスを感じることはない。西麻布あたりの交差点で隣の席の彼女(いやもちろん彼氏でもいいんですけど)をピッチング地獄に突き落としてしまうこともないだろう。
ガヤルドの系譜を受け継ぐウラカン
ランボルギーニ ウラカンRWDスパイダーである。
アヴェンタドールを思わせる強いデザイン、派手なエンジンサウンド。ドヤ感マックスのルックスをして、これほどまにで超低速域でもジェントルだとは恐れ入った。とにかくこんなナリしてとても乗りやすいのだ。
まずはエクステリアを見てみたい。
同社において驚異的なセールスを記録したガヤルドの系譜を受け継ぐウラカンは、もちろん販売台数という意味でも後継となる必要がある。というわけで、かなり戦略的に「お値段以上感」を盛り込んでいることに注目したい(あくまでも同社比ですけども。約2,800万円ですし)。
ウラカンは、先述の通りアヴェンタドールのデザインテイストを随所に散りばめ、そこにいるだけでそこはかとないオーラを発散する。しかし、ギュンギュンの直線構成ではなく、随所に空力を思わせる曲線を取り入れ、またライト関連をリフトアップさせることで現代的な若々しさも手に入れている。
内装はクラシックと先進の融合
そして、内装がこれまたすごい。
センターコンソールに並んだボタン類の独特の配置は、まさにランボルギーニに乗るという醍醐味を味わわせてくれるものだ。メカメカしい、というと変な表現だけど、まさにそれ。だいたい、エンジンを始動するためのスタータースイッチですら、まるで緊急脱出用かミサイル発射かと見まごうがごとき赤いフラップの中に隠されているのだから。この赤いフラップを開けるとき、「さあ今から私ランボルギーニに乗りますよ」という気分がブイブイ盛り上がる。この一手間、この儀式がなんとも奥ゆかしく、哲学的ではないか。
その下のシフトレバーも、「一昔前の宇宙モノアニメか!」みたいな、まるでこれを手前に引いたら離陸でもするんじゃないの的な形状をしているのだけど、“クルマを運転する”という、ともすればルーティーンに陥りがちな作業を、非日常に落とし込んでくれるにふさわしい仕掛けになっている。
シートも同社肝煎りの新素材を使用し、ややバケット形状をなぞらえたスポーツシートながら、存分に高級感を醸し出している。
注目はそのシートに身を沈めたとき、ステアリングホイールの向こうに見えるメータークラスターだ。
ウラカンはここをフルデジタルとし、メーター類だけでなく、ナビゲーションなども表示させた。
この、「これまで」と「これから」の、クラシックと先進の融合のさせ方が面白いと感じた。人間が乗り込み、エンジンを始動させる=動かすという部分にはアナログを、いざ走り出したその先にはドライバーをサポートする先進を。異なる時代のテイストの棲み分けが上手になされているので、旧来のファンを失望させることもないし、新たなユーザーにはランボルギーニを手に入れた歓びを旧来通りきっちりともたらしてくれると思う。
普通の領域ですらきめ細やかなギア選択がなされ、申し分ないレスポンス
RWDの名の通り、このモデルは後輪駆動となっている。それにかのスペックが加わるんだから、さぞやテールハッピーでピーキーな、それこそエンブレムの通りの暴れ牛を想像しようものだけど、嬉しいことに最高にいい意味での裏切りに遭った。
いい仕事をするのが「LDF(ランボルギーニ・ドッピア・フリッツィオーネ)と呼ばれるデュアルクラッチの7速ATで、とにかくこれがスムーズかつ紳士的。ウラカンにはほかのランボルギーニのモデル同様、ドライブモードが3つ用意されている(ちなみにこのドライブモード選択もステアリングホイール下辺に備えられたボタンで行える)。ノーマルは「STRADA」、そこから「SPORT」「CORSA」と過激になっていくのだが、よっぽどのことがない限り「STORADA」からモードを動かす必要はない。低速域から高速域まで7速のデュアルクラッチがとてもクレバーな仕事をしてくれる。
もちろん580ps/560Nmのパワーを誇るから、ちょっと強めにスロットルを開ければ甚大なトルクが発生するのだけど、それはごく当然のこととして、時速30~40kmほどでもガクガクしたりピョコピョコすることなくスルッとドライバーを運んでくれる。この領域ですらきめ細やかなギア選択がなされ、レスポンス的にも申し分ない。
四輪駆動を捨てたからこそ得られるボディの軽さのために旋回性は抜群
そしてRWDの恩恵は、ステアリングフィールの軽やかさに集約されていた。
細やかな電子制御が張り巡らされ、サーキット仕様モードである「CORSA」選択時以外はいかにアクセルを踏み込んでも怖い思いをすることは皆無。それどころか、抜群の接地感でRWDを意識することができないくらい。そのかわり、四輪駆動を捨てたからこそ得られるボディの軽さのために旋回性は抜群だ。見た目のボディサイズをモノともしない身のこなしで、ひらりひらりとコーナーを駆け抜ける。ステアリングフィールも軽く、汗水垂らして乗りこなす!みたいな苦行とはほど遠い快適ドライビングがそこにあった。
ちなみに試乗車にはオプションの20インチタイヤが装着されていて、そこからもたらされるインフォメーションはそれなりにスポーツカーフィールなのだけど、過剰にガチガチには締められておらず、ここもデートカーに出来るレベル。
ただし、地に潜るかのような低いドライビングポジションから、後方視界は驚くほど悪いので、後続には注意してほしい。
Lamborghini Huracán Rwd Spyder 主要諸元
全長x全幅x全高:4459x1924x1180mm/ホイールベース:2620mm/車両重量:1509kg/乗車定員:2人/駆動方式:後輪駆動(MR)/エンジン種類:5.2リッターV10 DOHC 40バルブ/総排気量:5204cc/最高出力:580ps(426kW)/8000rpm/最大トルク:540Nm(55.1kgm)/6500rpm/トランスミッション:7AT/0-100km/h加速:3.6 秒/最高速度:319km/h/サスペンション:ダブルウィシュボーン式/タイヤサイズ:(前)245/35 R19(後)305/35 R19/メーカー希望小売価格:27,885,924円[消費税込]
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