ランボルギーニ アヴェンタドール LP 700-4 Roadster ミニ試乗レポート/今井優杏(2/2)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志
メカ好きこころがギュンギュン疼く
さてしかし、いったん乗り込んでしまうとこの優越感はなんなのだろう。ランボルギーニの実力は、乗ってこそ理解できるものなのかもしれない。
「ガンダムかよ!」と即座にツッコミを入れてしまうセンターコンソール上のシンメトリーなスイッチ類は覚えるのも大儀なほどにぎっちりと並んでいるのだけど、そのひとつひとつがまさにガンダムライクなのである。
特に涙が出そうに感激するのはスタータースイッチだ。なんと、コンソール中央に鎮座まします赤いフラップをパコっと開ければ、そこに秘めやかに隠されたボタンこそが、このV12エンジンを眠りから呼び覚ますそれなのだから。こういうギミックに萌えない男子がいようか。いや私は花も恥じらう未婚の乙女だが、そんな私でもメカ好きこころがギュンギュン疼いた。
発進はブリッピング音を盛大にまき散らす大仰な始動に反してとてもイージー。トランスミッションは7速のセミATだから、クリープこそないもののそっとアクセルを踏めばヨロヨロとか弱く発進を始める。もちろん勇ましく踏めば一発でホイールスピンするくらいのトルクが生まれるから、馬力のあるクルマほど、最初だけでも腫れ物に触るみたいにやさしくしておいたほうがいい。
徐々にアクセルを踏み足せば、オープンにした屋根の後方から、速度に似つかわしくないほどの排気音がわんわん追っかけてくる。意外にもそれがどんどん心地よくなるのはどうしたことだろう。話題の愛欲映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」じゃないけど、彼に乗ってから私、どんどん自分の知らない私になってる……的マインドシフトが起こるのもスーパーカーだからなんだろう。
もうどれもなんだか全部すごいのだが・・・
一般道に出れば、痛いほどの視線を感じる。日頃この視線に耐えるオーナー諸兄はおそらく、このクルマに日常的にメンタルを鍛えてもらえるのかもしれないと思うほどに、とにかく見られる。時には指を指されもするし、がっちり併走もされてしまった。
加速はもちろん圧倒的だ。ただでさえ獰猛なエンジンとアクセルレスポンスなのだが、アヴェンタドールには3つのモードが存在する。「STRADA」「SPORT」「CORSA」の3つがそれで、最も操作しやすいセンターコンソールの、スタート/ストップボタンカバーの上部にそれは配置されていて、スポーツ、コルサと右に行くにしたがってスパルタンなモードに切り替わる。特にコルサはトラクションコントロールがオフになるサーキット仕様だ。
どれも全部試したけど、もうどれもなんだか全部すごいですとしか言えないのだが(ごめんなさい)、ひとつ私でもわかる残念なことがあった。オープンカーとしてはイマイチということである。
とにかく風を盛大に巻き込むのだ。
百歩譲って私の髪が乱れるくらいはどうってことない。そういうのじゃなくて、つまり風切音が耳元で盛大に鳴りつづけるがゆえに、どんなモードを選んでもエンジンサウンドが肝心のドライバーの耳に入りにくいという残念な結果になってしまったのだ。
問題は、さあ今度SPORTモードにして、STRADAよりも数段シビれるあの音を聞いてやるんだ!なんて心に誓っても、その今度がいつ訪れるのか、全く想像もつかないことなのであった。
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