ジャガー Fタイプ(F-type)新型車解説/大谷達也(1/2)
- 筆者: 大谷 達也
どこかで見たことがあるようでいて実は独創的なデザイン
ジャガーのチーフデザイナーであるイアン・カラムは、新しいカーデザインを提案できる世界でも数少ないクリエーターのひとりだ。そのカラムが、およそ50年ぶりにジャガーが放つ新型スポーツカーのために腕を振るった。もともとジャガーがスポーツカーメーカーとして誕生したことを考えれば、これがどれほど責任の重い作業かがわかる。
でも、カラムは彼らしい手法でこのFタイプのデザインを仕上げた。それは、前述のとおり古典的ともいえるプロポーションのなかに、彼でなければ実現できない新しいスポーツカー像を構築した点にある。
たとえば、このFタイプには最新のデザイン・モチーフが随所に散りばめられている。
ヘッドライトやテールライトに仕込まれた細い光の帯やシャープなキャラクターライン、それにスムーズな面構成などは、いずれも現代的なモチーフだ。しかも、それらが無理なく伝統的なスポーツカーフォルムのなかに溶け込んでいて、まったく新しい世界を作り出している。その結果、トラディショナルに見えるけれど新しくて、どこかで見たことがあるようでいて実は独創的なデザインが完成したのである。
Fタイプの美しさはすでに世界的に評価されていて、2013年度の『ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー』を獲得している。
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