価格別 欧州テイストSUV 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
この価格で味わえる身近な欧州テイスト
デュアリスは、今回比較の他2車種と比較すると一番お手ごろな価格だが、この価格ながらも「売り」といえるポイントの非常に多いクルマである。
まずデザイン。上半身は乗用車、下半身はSUVテイストとした、たくましさと軽快さを併せ持つフォルムは、巧みな面構成とも相まって、コンパクトながら存在感をアピールし、欧州のユーザーの目にも止まった。
さらに走り。まさにヨーロッパの道がデュアリスを育てただけのことはあり、懐の深い上質なドライブフィールは、アウトバーンや石畳の市街地など厳しい道路環境での走行を日常とする欧州ユーザーをも認めさせた。
そして走りのよさだけではなく、燃費性能の高さも兼ね備えており、走りとともにこの点も環境意識の高い欧州ユーザーがデュアリスを選ぶ理由となっている。
そしてパッケージング。限られたサイズの中で、居住空間やラゲッジスペースが非常に合理的にレイアウトされている。また、大面積を誇るスタイリッシュガラスルーフの設定もポイントだ。このクラスで、これほどのバリューを持っているクルマはちょっと見当たらず、欧州で高く評価されていることもうなずける。
車両価格200万円台前半という手頃さで、このように本格的な欧州テイストで手に入れることのできるデュアリスのコストパフォーマンスの高さを、あらためて認識した次第である。
BMWの一員としてのバリューを守りつつ実現した低価格
sDrive18iグレードの363万円という価格は、非常に戦略的といえるだろう。
たとえば1シリーズのハッチバックに対しては、わずかなプラスアルファでこのバリューが手に入ることになり、逆に3シリーズのツーリングに対しては、それに近いバリューをはるかに安い価格で手に入れることができる、というクルマである。
実際とてもよく売れていて、発売以来ずっと納車まで3~4ヶ月待ちの状態が続いているという。その勝因は、BMWの一員というコアな部分のバリューを失うことなく、別の側面を削ぎ落とすことで、この低価格を実現したことにあるといえるだろう。
ただし、sDrive18iグレードは、BMW X1というクルマの本来の実力からすると「ガマン」を重ねて低価格を実現したクルマという側面が大きい。よりBMWらしさを求めるのであれば、車両価格は480万円と120万円近く高くなるものの、xDrive25iグレードを選ぶべきだろう。
見ても乗ってもアウディらしい
日本でもメキメキとブランドイメージを上げているアウディだが、それはプロダクト自体が、それ相応のバリューをしっかりユーザーに提供できているからにほかならないだろう。
車種ラインアップがどんなに増えても、どれに乗っても1本通ったアウディの“味”があるところには、いつもながら感心させられる。Q5は、そんなアウディの中では比較的新しいモデルであるが、アウディが新規参入してまだそれほど時間が経過していないカテゴリーのクルマにもかかわらず、見ても乗ってもアウディらしさを随所に感じさせるクルマである。
デュアリスで2.5台分、BMW X1で1.5台分強という価格は、今回の中ではダントツで高価であるわけだが、その差はボディサイズだけでなく、室内のクオリティ感や装備の充実度、走行性能などあらゆる面に如実に表れている。
購入する側にとっては、対価に見合うバリューが与えられているかどうかが重要だろうが、その点Q5は、興味を持った人に対して、十分に期待に応えていると思う。
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