クライスラー 300 SRT8（2013年モデル） 試乗レポート／岡本幸一郎 -6.4リッターの強烈な加速Gに度肝を抜かれる！-(2/2)

2トン超とは思えない、クイックなステアリングと一体感ある操縦性

エンジンパワーにまったく負けていないシャシー性能にも大いに感心させられた。

全長は5mを超え、車両重量も2トンをわずかに超えるほど大柄で重いクルマにもかかわらず、クイックなステアリングと、それにしっかりついてくる一体感のある操縦性を実現しているところが、まずたいしたものだ。

ボディ剛性は十二分に確保され、足まわりもほどよく引き締められている。

今回は幸運にもサーキットで走らせることもできたのだが、3モードエレクトロニックスタビリティコントロールのスポーツ走行向けモードを選ぶと、これ以上は危険というギリギリのところまで介入せず、最後の最後に守ってくれるという感じ。

ありあまるトルクを生かして、簡単にパワースライドに持ち込めるし、特性がリニアなのでドリフト状態をコントロールしやすいところも楽しい。

また、速さへの担保として、対向4ピストンキャリパーを持つブレンボ製のブレーキが与えられている。踏み心地にも頼もしい剛性感があり、これだけ大きく重いクルマであることを感じさせないほどの強力なストッピングパワーが確保されている。

また、2モードアダプティブダンピングサスペンションは、このクルマを快適なサルーンにも、ハイパフォーマンススポーツセダンにも、ステージに合わせて最適な走りを提供してくれる。

内外装もスポーティかつラグジュアリーで“そそられる”

あくまでパフォーマンスの訴求が本質のクルマだと思うので、先に走りの話をお伝えしたが、300 SRT8は内外装にもそそられる部分がいくつもある。

エクステリアでは、SRT8専用の精悍なフロントグリルや7スポークの鍛造20インチアルミホイールを装着し、リアスポイラーを追加するなど、もともとの存在感に加えて、実にわかりやすくスポーティな印象とされている。

インテリアも、カーボンファイバーのパネルを各部にあしらうとともに、ポルトローナフラウ社の「フォリーニョ」という上質なレザーインテリアトリムや、ナッパレザーとスエードを組み合わせたスポーティな形状のシートや、さらには19基ものHarman Kardon社製スピーカーまで標準装備。スポーティかつラグジュアリーな、特別感あふれる仕様となっている。

圧倒的な動力性能と鍛え上げられた運動性能というパフォーマンスに加えて、ルックスや装備もまた魅力的なクルマである。

それでいて価格はけっこう控えめ。通常モデルが638万円、3層仕上げパールペイントを施した車両が643万円、デュアルペインパノラミックサンルーフ装着車が653万円、これに3層仕上げのパールペイントを施した車両が658万円となっている。同程度の内容のドイツ車と比べると拍子抜けするほどだ。

アメ車というだけで興味の対象から外してしまう人は少なくないかもしれないが、こんなクルマが存在することを、できるだけ多くの人に知っていただけると筆者も幸いに思う。そして、ひとまず買うかどうかは抜きにして、少しでも多くの人に、ぜひこのパフォーマンスを味わう機会をつくっていただけるよう願いたい。

クライスラー 300 SRT8 主要諸元

全長 x 全幅 x 全高：5090mm x1905mm x 1485mm／ホイールベース：3050mm／車両重量：2295kg／エンジン：6.4リッター V型8気筒OHV／最高出力：347kW（472ps）6100rpm／最大トルク：631N・m（64.3kg・m）4150rpm／トランスミッション：電子制御式5速AT／JC08モード燃費：5.9km/L／タイヤサイズ：245/45ZR20

クライスラー 300 SRT8 価格（税込）

クライスラー 300 SRT8／6,380,000円

クライスラー 300 SRT8（三層仕上げパールペイント）／6,430,000円

クライスラー 300 SRT8（デュアルペインパノラミックサンルーフ付）／6,530,000円

クライスラー 300 SRT8（デュアルペインパノラミックサンルーフ付・三層仕上げパールペイント）／6,580,000円