シボレー コルベットZR1 試乗レポート/岡本幸一郎(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
ひとたび踏み込めばLS9ユニットが怒涛の加速をもたらす
FRP製の軽いドアを開けて、低めのポジションのレザーシートに身体を滑り込ませると、一面にレザーを貼り、ところどころにカーボンをあしらったコクピットが迎えてくれる。
当初、樹脂感むき出しだったC6型のベースモデルでは質感の低さが指摘され、筆者も同様に感じていたのだが、レザーとカーボンにより雰囲気はガラッと変わっている。
ちなみにこの「カスタムレザーラップインテリア」は、ベースモデルやZ06でもオプションで設定されているので、該当モデルの購入検討者は、69万3000円と少々高価ではあるが、ぜひ選ぶべきだと思う。
タイトなコクピットの低いアイポイントから眺める景色は、ボディのワイドさを意識させ、エンジンスタートボタンを押すと、ZR1の最大の武器であるLS9ユニットが、その高性能をアピールするかのごとく野太い咆哮とともに目覚める。
ドライバー側に傾けられた新開発の6速MTのシフトフィールは、極めて剛性感が高く、レーシーな雰囲気に満ちている。ありあまるトルクのおかげで、一般道であれば発進も含め2速ホールドでどこでも走れてしまいそうな感じだが、このクルマが本領を発揮するのは、やはり目の前の空いたハイウェイだろう。
ひとたび踏み込めば、猛々しいエキゾーストサウンドとともに、シートに身体がめり込むほどの怒涛の加速がもたらされ、あっという間に景色が視野の彼方へと流れていく。
踏んだ直後にタイムラグなくドカンと前に出て、そのままフルブーストを維持して、レブリミットの6500rpmまで一気に吹け切ってしまう。
その速さたるや、かつてそう何度も体験したことのないレベルで、痛快極まりない。
ESP&TRCをオンにしていれば、その守備範囲内で、5つのモードが選べるトラクションマネージメントが、たとえ標準モードでも、あえて踏み込んだ直後は瞬間的にパワーがタイヤのグリップを上回るようにセッティングされているようだ。
コーナリング中であれば、一瞬パワーオーバーステア状態にもなる。しかし次の瞬間には、パワーが絞られすぎでストレスを感じさせることもなく、すぐさま安定した状態に復帰する。ESPにはさらに、スポーツ走行向けのモードも設定されている。
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