アストンマーチン ヴァンテージ 試乗レポート(1/3)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:原田淳
日本で乗れる日をいかに待ち焦がれていたか!
アストンマーチンは英国を代表するスーパースポーツカーブランド。クラフトマンシップに支えられて、過去90年に渡り、常に英国車ならではの香りに満ちたスポーツカー作りをしてきた。その間、幾多の困難を乗り越えて、現在はフォード傘下で活況を呈している。DB7、DB9、ヴァンキッシュ、そしてV8ヴァンテージが現在のラインアップだ。特にV8ヴァンテージはポルシェ 911と共通のレンジにあるライバルとして発表され、世界から熱い注目を集めて昨年、日本にも導入された。
クラフトマンシップは製品へのモノヅクリのこだわりを象徴する言葉としてよく使われるが、アストンマーチンの場合は文字通り職人がシャシーからボディ、トランスミッション、エンジンに至るまで自ら手で組み立てている。ちょっとクルマを見ただけでそのこだわりが熱く伝わってくる。
ボンドカーとして有名なアストンは、ちょっとコミカルなスパイカーの印象が強いが、ストイックなスーパースポーツカーなのだ。エンジンはジャガーXKのV8エンジンをベースにした4.3リッターで出力は380psに達する。ジャガーXKの場合は4.2リッターで304psだから大幅なチューニングがなされているのが分かる。そして組み合わされるトランスミッションは潔く6速のマニュアルのみ、しかも重量配分を改善するために後輪の上にマウントするトランスアクスル方式を採用するというこだわりようだ。
ボディ、シャシーはアルミだが、一部をボディの造詣の関係でスチールとのハイブリット構造としている。ここにも作りやすさよりもデザインを優先するというモノヅクリのこだわりが感じられる。
まだベイビーアストンと噂されていた頃のV8ヴァンテージを最初に見たのは数年前のデトロイトモーターショーのプレスデイだった。ご存知のようにモーターショーには様々なメーカーがコンセプトカーを提案しており、大抵のことでは目移りしないものだが、このときばかりは違った。デトロイトショーのプレスデイでは、まだ搬入中のクルマが多くあり、ベビーアストンもその一台だったが、アイドリングしながらスタッフに押されてディスプレイ・スペースに着くメタル色に鈍く光るアストンは、何度も見に行ってもドキドキするような感動を与えてくれた。
それから数年、日本で乗れる日をいかに待ち焦がれていたか!やっとその日が来たのである。
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