マツダの新戦略か?否定してきた過給エンジン投入の意図とは?
- 筆者: 国沢 光宏
マツダはスカイアクティブ技術を発表した時点からガソリン過給エンジンを徹底的に否定してきた。なかでも強硬なのがエンジン開発担当のTOPである人見さんである。
何度となく「過給エンジンはやらないのか?」と聞いてきたけれど、その度に「効率が悪いので絶対やらない!」と否定し、返す刀で「過給エンジンの自動車税が安いのはおかしい!皆さんそう思わないですか?」。
確かに過給エンジンは可変排気量のようなもの。1500ccエンジンに0.5気圧過給してやれば、実際の排気量は2250cc分である。2500cc以下の自動車税にすべきなのかもしれません。
逆に排気量によって決まる自動車税を撤廃し、ガソリン課税を上げれば燃費課税になります--ということまで人見さんは主張し過給エンジンの否定をしてきた。マツダの過給エンジン搭載は本当に驚きだ。
好対照なのがホンダである。先日行われたホンダジャーナリストミーティングの際、過給エンジン路線を拡充していくと発表した。
来年にも市販車に搭載されるという3気筒1000cc過給エンジンの試乗車もあったけれど、1500~1800ccの4気筒エンジンと同等の出力を持ちながら一回りコンパクトで燃費も良好だという。
過給エンジンについての意見を聞いたら、以下のような答え。
「熱効率だけで評価すればターボ無しの方が良いかもしれません。ただ過給することにより大幅にエンジンサイズは小さくなります。V6を4気筒にすることだって可能です。また、4気筒の1500ccターボと、2500ccターボ無しであれば振動や質感という点で小排気量ターボの方が圧倒的に少なくなりエンジンの存在感も薄くなります」。
総合して考えると、マツダとしてはV6を残しておくと生産効率が悪くなる。かといってアメリカでCX-5より大きなボディのクルマを売るとなれば、ターボ無し2500ccだと動力性能で厳しい。だったら2500cc4気筒にターボを付ければよい」ということなんだと思う。
人見さんの「マツダは絶対ガソリン過給はやらない」と言ってきた点のみ、辻褄が合わない。
とはいえ、最近ひと味違う方向を目指すマツダだけに、どんな過給エンジンを作ってくるのか大いに期待している。
参考までに書いておくと、 2500ccはダウンサイジング過給エンジンの中で最大級の排気量(現時点ではフォードの2300ccが最大)。出力特性や燃費、エンジンフィールを含め、試乗が楽しみになってきた。
[Text:国沢光宏]
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