【ラゲッジルーム】ラゲッジの基準はなぜゴルフバッグなの?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:トヨタ自動車株式会社
【ラゲッジルーム】ラゲッジの基準はなぜゴルフバッグなの?
ラゲッジの広さについては、「ゴルフバッグが何本積める」という表現がいまだに多用されています。
ゴルフをやらない人にとってはどうでもいいと思うのですが、なぜゴルフバッグなのでしょうか。
その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。
クルマの荷室の容積を計るには、VDA方式と呼ばれる測定法がある。
容量が1リットルの牛乳パックが何個積めるか?というもので、「VDA方式で300リットル」と表記されたクルマの荷室には、理屈の上では牛乳パックが300本積めるということになるのだが、いまいちイメージしにくい測定法だ。
これに対し、ゴルフバッグが何本積めるかというのは、一発で荷室の広さをイメージできる。
ゴルフバッグというものは、基本的にどれも同じような大きさ。スーツケースには多種多様なサイズがあるが、ゴルフバッグにはそれがないので、イメージしやすいのだ。
そういったことから、セダンやクーペタイプのクルマのトランクの広さを表現する際には、盛んに使われる表現となり、現在に至っている。セダンやクーペを愛車とする人にとって、「最大級の荷物はゴルフバッグ」という傾向は、日本ではいまだ根強い。
しかし、世界中どこでもゴルフバッグが重要かと言えば、そうでもない。日米英はゴルフが盛んなので、メーカーもゴルフバッグの積載本数を意識してラゲッジスペースを決めるが、ドイツ、フランス、イタリアではゴルフはメジャーではないので、メーカーもあまり意識していない。
近年、ドイツ車のラゲッジの左右サイズが、サスペンションの関係で小さくなり、ゴルフバッグが横に入らないケースが増えているのは、欧州の大陸側ではゴルフがマイナーであることと無関係ではない。
ゴルフ好きは、ドイツ車のトランクスペースの左右サイズには注意した方がいい。
清水草一の「ひとりごと」
ゴルフバッグは、未だにラゲッジの重要な指針だ。
何よりも芸術性を重視するスーパーカー、フェラーリでも、360モデナ以降のモデルは、ゴルフバッグが収納可能であることをアピールしている。
モデナのいったいどこにゴルフバッグを積むのかって?
それはリヤシートとバルクヘッドの間。無理すれば2本入れられる。ただ2本入れると、リヤウィンドウが隠れてしまうかもしれない。かもしれないというのは、私自身は、フェラーリにゴルフバッグを積んだことはないからだ。
一応ゴルファーなんですけどね、フェラーリでゴルフに行くと、プレーする前に精神的にクタクタになってしまうので。