EVの幻想!?/河村康彦のコラム(1/2)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:オートックワン編集部/日産自動車株式会社/菊池一弥
EVの幻想!?/河村康彦のコラム
三菱 i-MiEV 日産 リーフ 三菱 i-MiEV 走行イメージ 三菱 i-MiEV 充電インジェクション 画像ギャラリーはこちら

EVの幻想!?/河村康彦のコラム

三菱 i-MiEV日産 リーフ

いよいよこの7月からの市場投入が始まり、2010年4月からは“個人向け本格販売”もスタートする三菱のi-MiEV。一方、2010年秋より年間5万台規模で生産を立ち上げ、以後2012年の“量販”に向けてさらに生産拡大が行われるとアナウンスされたのが、日産のリーフだ。

主にそうした両社の発表を受け、今年になってから大いに盛り上がりを見せたのがピュアEVに関する話題。なるほど、ここまでEVの存在が身近に感じられるようになったのはかつてない出来事だ。

それにしても、前述の2社をはじめとしたメーカーによる“広報活動”が効を奏してか、TVや新聞に目をやるとまるで「明日からでもEVの時代がスタート!」といったスタンスの報道がこの所相次いだ点には、違和感を禁じえない。

曰く、「この静かさはガソリン車とは比べ物になりません」だの、「発進加速は想像よりも遥かに強力」だのと、特に走りの印象に関しては絶賛の嵐という状況。なるほど、自分も東京R&Dという企業が1991年に製作した0-400m加速タイムが18.05秒、最高速が176km/hという当時としては超高性能な研究車の『IZA』なるEVがナンバーを取得し、第三京浜道路でのテストドライブの機会を得た15年以上前に同様のインパクトを受けた事を思い出す。

もっとも、その後に様々なEVのテストドライブの機会が得られるようになると、「静かで発進が強力」というフィーリングはどのモデルもが基本的に備える、EVならではの印象的な特徴であるのに気付く事にもなったわけだが・・・。

それにしても、最近のEVに関する話題の中でも特にインパクトの大きかったのが、日産のゴーン社長が発表した数々の“コミットメント”。

世界の各都市と次々にEVに関するパートナーシップを締結し、「アメリカやイギリス、ポルトガルに各国のサポートを受けつつリチウムイオン工場を新設し、前述のように2010年秋以降には少なくとも年産5万台規模でEVの生産を行う」というその内容は何とも大胆で刺激的。

日本国内でのニュースに限れば、さらに三菱、スバル、及び東京電力とも組んで急速充電器の普及や充電方式の標準化を目的とした『急速充電器インフラ推進協議会』を立ち上げ、昭和シェル石油の次世代型太陽電池と日産の車載用リチウムイオン電気を組み合わせた急速充電システムを共同で開発検討の決定も発表するなど、いよいよ「EVの時代」が始まったと思わせるに十分なニュースソースが日産からだけでも出揃ったように思えた。

が、果たしてそれらを踏まえて、“EV元年”と称するのは正しいのだろうか!?

すでに発表され、間もなく発売されるEVたちは、エンジン車の代替となり、そして駆逐するほどのポテンシャルを本当に備えているのだろうか!?

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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