「フォーミュラE」由来の性能を発揮するミシュランの新しいスポーツタイヤ『パイロットスポーツ4』試乗レポート(1/3)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:和田清志/日本ミシュランタイヤ株式会社
古くから常に「トータルバランス」を狙い続けるミシュラン
今のクルマのトレンドは「一転豪華主義」ではなく「マルチパフォーマンス」だ。例えば、スポーツカーでも「快適性」、高級サルーン/ミニバンでも「運動性能」、SUVでも「乗用車並みの性能」など、そのカテゴリーに必要な性能のレベルを引き上げるのは当たり前で、昔は諦めていた他の性能もシッカリとバランスさせるようになっている。
実はタイヤの世界では、古くからミシュランが「トータルパフォーマンス」と言うコンセプトを掲げて商品展開を行なっている。ただ、ラインナップを見ると、走りを楽しむ「スポーツタイヤシリーズ」、くつろぎを味わう「コンフォートタイヤシリーズ」、安心感が増す「スタンダードシリーズ」と3つのシリーズが設定されているのはなぜか?
実はミシュランの“シリーズ”の考え方は、「●●に特化」ではなく、それぞれのカテゴリーの中でベストバランスを狙った商品で、そのベストバランスの中でより注力したい性能を高めていくのがポリシーなのだ。
例えば、現在販売中のパイロットスポーツ3はスポーツタイヤシリーズに属するが「快適性も高い」、プライマシー3はコンフォートタイヤでありながら「運動性能も高い」と。
悩ましいのは「特別」や「専用」が大好きな日本人にとって、「トータルバランス」と言う言葉が、「個性が薄い」、「どっちつかずの性能」と言うニュアンスに取られてしまいがちなことだ。
「1レース1セット」、「ドライ/ウエット兼用」とこれまでのレース用タイヤとは異なるレギュレーションであると共に、航続距離を稼ぐためには「グリップと転がり抵抗」のバランスも重要。
そう、レース用タイヤだが、求める要求性能は市販タイヤと同じと言うわけだ。
そんなレーシングタイヤからPS4にフィードバックされた技術は、レーシングタイヤのトレッドパターンを応用した広い接地面(トレッドにおける溝面積の割合はほぼ同じ)による「ドライグリップ」、排水性能の高いパターンと新コンパウンドによる「ウエットグリップ」、そして、ハイブリッド・アラミドナイロンベルトの採用で路面とより密着することによる「レスポンスの高さ」だ。
ちなみに転がり抵抗や快適性、耐摩耗性と言った部分は、ミシュランとしては「スポーツタイヤでも備えていて当たり前!!」と言う考えで、声高らかにはアピールしていないが、当然高いレベルを備えているのだ。
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