三菱 ミラージュ 海外試乗レポート/松下宏(2/2)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:三菱自動車工業株式会社
新興国から先進国へ売るクルマ「ミラージュ」
三菱にとってミラージュは久々の新型車であり、基本プラットホームからパワートレーンまでほとんどすべてを新設計した。外観デザインは世界で売ることを重視して多くの人に受け入れられやすく、親しみやすいデザインとしている。
一見すると全体的なイメージはマーチにも共通する感じだ。明確やキャラクターラインや抑揚のあるボンネットフードなど、それなりに特徴的な部分があるほか、燃費に貢献する空力特性に優れたボディとしているが、見る人をはっとさせるほどのインパクトがないことにはやや物足りない印象もある。
また粗を探せば、ボディパネルの合わせ目の部分の隙間はやはりちょっと大きめ。日本で生産するクルマのように精度の高いボディ作りは、タイではまだ難しいようだ。ボディカラーはイエローやグリーンなど、明るい色を含めた合計8色が用意されていた。
インテリアデザインは低コストのエントリーカーであるため、かなりシンプルな印象。インパネ中央の部分にはブラックのパネルが用意され、試乗車は最上級グレードだったのでカーナビも設定されていたが、質感に関しては平均レベルである。
ボディサイズはマーチやブリオなどに近いが、効率的なパッケージングが追求されていて、室内空間は十分な広さがあるし、ラゲッジスペースも3車種の中で最も大きい。特にブリオに比べると格段に大きい。これはひとつの特徴だ。
もうひとつの特徴は高張力鋼板などを積極的に使った設計によって基準車で850kgという軽量ボディを実現したこと。これはマーチに比べるとざっと100kgくらい軽いボディだし、ブリオに比べても50kg以上も軽い。この軽さは低燃費へとつながっている。
搭載エンジンは新しく開発された3気筒1.2LのMIVECで、三菱風にいえばINVECS-ⅢとなるジヤトコのCVT7と組み合わされる。副変速機付きのCVTは日産車やスズキ車に搭載されているのと同じものと考えていい。
動力性能は最高出力が57kW(78ps)/6000rpm、最大トルクが100N・m(10.2kg-m)/4000rpmだから、数値的にはマーチにややおよばないが、これは低燃費の実現を大きなテーマにしたためだ。欧州の測定方法と同じ基準でマーチを上回る22.0km/Lを実現している。
この夏に発売される日本仕様車は、1.2Lではなく3気筒1.0LにCVTを組み合わせて搭載するという。これはさらに優れた燃費を追求するためで、開発した時点では10・15モード燃費で30.0km/Lを目指していたという。JC08モードではデミオの25.0km/Lを超える性能を達成するという。
ミラージュの乗り味は加速の良さと柔らかめの足回り
バンコクモーターショー会場に併設された特設コースで新型ミラージュに試乗した。アップダウンなどのない限られた設定の中での試乗だったが、パイロンスラロームやダブルレーンチェンジなども設定されていて、それなりに分かったことも多かった。
走り出しのスムーズさはCVTのもの。アクセルワークに対するダイレクト感についてはやや物足りない面もあるが、ペダルをグンと踏み込めば副変速機のロー側を使って力強い加速を見せる。
今回の試乗は2名乗車だったので、ボディの軽さが持つ優位性を単純に享受することはできなかったが、それでも加速の良さはしっかり体感できた。エンジンが1.0Lに変わると、当然動力性能も下がることになるが、走りが大きくスポイルされることにはならないだろう。
スラロームなどを試すと足回りはかなり柔らかめの印象だ。タイの道路事情はそれほど良いものではないから、荒れた路面でも快適性を感じさせる乗り心地が求められるのだろう。その分だけパイロンスラロームなどでは大きめのロールが出る。簡単に破綻してしまうような柔らかさではないが、ロールはもう少し抑えてほしいところ。
このクラスのクルマではフロントにスタビライザーを装着しない例が多く、タイ仕様のミラージュにも装着されていなかったが、日本仕様車にはぜひともスタビライザーを装着して安定性の向上を図って欲しい。
またインパネ内にエコランプが設定されていて、移動区間などをゆっくり走るときにはすぐにエコランプが点灯したが、今どきのクルマにはエコランプだけでなく、燃費計の設定が常識になりつつある。低燃費を強調するクルマであるなら、ぜひとも瞬間燃費計と累計燃費計が欲しいところだ。
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