ボルボ、一般ユーザーが参加する自動運転実験を2017年にロンドンで実施
ボルボ・カーズは2017年にロンドンで、英国史上最も野心的な自動運転実験を開始すると発表した。
この実験は、自動車事故の大幅な減少と渋滞の解消、そして運転者の貴重な時間の節約を実現する自動運転技術の導入速度を加速させることを目的として実施される。
1959年に3点式シートベルトを発明して以来、自動車の安全の代名詞となったボルボは、自動運転システムの開発においてもパイオニアとしての役割を果たしており、2020年までにボルボの新車に乗車中の死者・重傷者をゼロにするというコミットメントの一環として開発が行われている。
ホーカン・サムエルソン社長兼CEOは、「自動運転は自動車の安全性の躍進を象徴するものです。自動運転車の実用化が早ければ早いほど、より多くの命が守られることでしょう。」と語った。
ボルボのイギリスでの実証実験は「Drive me London」と呼ばれ、実際のファミリーが自動運転車を公道で使用するという点で、他の自動運転実験とは一線を画している。
サムエルソンCEOはボルボと、ロンドンの保険産業の研究機関であるサッチャムがスポンサーするセミナー「自動運転とともにある未来–保険産業への影響」(5/3開催)で所感を明らかにした。
ボルボは一般の参加モニターが日常使いをする自動運転車からデータを収集し、クローズドのテストコースで行われる非現実的なテストとは全く異なり、実際の道路環境にマッチした自動運転車の開発に活用される。サッチャムは技術データの分析と、実験の一部として必要な各種のプロテストドライバーを提供する。
「Drive me London」は2017年初頭に、限られた数の半自動運転車から始まり、2018年には自動運転車100台を含むレベルまで拡大する。「Drive me London」は英国の交通史上、最大且つ最も大掛かりな自動運転の実証実験となる予定で、自動運転車の導入により、英国の道路には安全、渋滞、公害、そして時間の節約といった4つの領域において大変革がもたらされることが期待されている。
独自調査では、自動運転テクノロジーにより自動車事故件数は著しく減少する可能性があり、状況によっては最大30%減少させることが判明した。現在、全ての事故の約90%は運転者のミスや注意散漫といった人間の不注意が原因で発生しており、自動運転技術によりそのほとんどを防ぐことが可能となる。
「自動車メーカー各社は、2021年頃までには自動運転が、自動車旅行中にしばしば発生する退屈から運転者を開放してくれると予想しています。自動運転システムにより、事故の発生頻度は間違いなく激減します。我々は自動ブレーキ機能(AEB)を多数の車両に導入した際にも、事故数の減少を目にしてきました。NHSTA(米国国家道路交通安全局)による米国での研究によると、2035年までには、自動運転及び、コネクテッド・カーテクノロジーにより衝突事故件数は80%減少すると予想しています。さらに、もし不幸にも衝突事故が避けられなかったとしても、衝突時のスピードはシステムによって減少され、衝突の重篤化を低減します。」と、サッチャム研究所のCEOピーター・ショウ氏はコメントした。
混雑に関しては、自動運転車により交通の流れはよりスムーズになり、渋滞が緩和される。また、その延長線上として、有害な排気ガスや大気汚染を減らすことができる。そして最後に、混雑の緩和は運転者の貴重な時間を節約する。
「自動運転車には様々な利益があります。だからこそ世界中の各国政府が、可能な限り早く、自動運転車の公道走行を認可する法整備とインフラを導入する必要があるのです。自動車産業だけでは、この全てを行うことは出来ません。我々には政府の後押しが不可欠なのです。」」と、サムエルソンCEOは述べた。
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