ルマン参戦 日産デルタウィングがレースカーの概念を覆す!(1/3)

  • 筆者: ピーター ライオン
ルマン参戦 日産デルタウィングがレースカーの概念を覆す!
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バットマン・カーかラプター戦闘機か

2012 ル・マン24時間
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世界でもっとも歴史が長く華々しい24時間耐久レース「ル・マン」。その第80回は、アウディが圧倒的な強さで表彰台を独り占めしたレースとして記憶されるだろう。しかし、トヨタ・ハイブリッドのハデなクラッシュが2度起きたレースでもあり、その1つがレースの注目の的だった日産デルタウィングを大破させたことも記憶されるだろう。

ル・マンでは、各ブランドの信頼性、レースでの速さ、燃費性というもっとも重要な要素がテストされる究極的なイベントであり、その結果は各社のマーケティング部門が行うブランド・プロモーションにとって重要なツールとなる。この3つの要素が最高のパフォーマンスを実現するクルマを作るために、自動車メーカーは何億もの予算を費やすのであり、それはブランド・イメージの向上とショールームでの販売に還元されていく。

このところ連勝しているアウディは、初めてディーゼル車でル・マンに挑戦したメーカーであり、その作戦は2005年に勝利をもたらせた。そして今年、同社は従来のディーゼル・エンジンと電気駆動というハイブリッドモデルのeトロン2台で表彰台を独占した。

このハイブリッド方式が用いる大きなフライホイールにより、制動時に生じるエネルギーを前輪に接続する電気モーターへの動力に変換するテクノロジーは、やがて市販車に応用されるだろう。

一方、13年の空白を経てル・マンに復帰したトヨタは、投入した2台のガソリン・ハイブリッド車が目覚ましいレースを展開し、一時はトップにさえ立った。

しかし、レースでもっとも注目を引いたスターは、信頼性、レース・ペース、燃費性というパフォーマンスを急進的に一段高いレベルへ引き上げた日産デルタウィングだった。バットマン・カーとF22ラプタージェット戦闘機を足して2で割ったような外観のデルタウィングは、1976年に登場したティレル6輪マシン以来、どんなレースにおいても、もっとも革新的で過激なレースカーであることに間違いない。

すべてが「半分」の集積

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ところで、このユニークなプロジェクトはいかにして生まれたのだろうか?

デルタウィングの発案者と、ローラ・カーズの元チーフ・デザイナーのベン・ボウルビー、さらにアメリカレース界切っての大物と、ミシュラン、そして日産のエンジニア達が一同に会した場面を想像できるだろうか?とんでもない顔ぶれだよ。

ボウルビーはデルタウィングを制作すべく、ハイクロフト・レーシングのオーナーであるダンカン・デイトンの協力のもと、ダン・ガーニーのオール・アメリカン・レーサーズを招聘した。

デイトンは2010年のチャンピオンシップ・ドライバーであるマルコ・フランキティを連れて来た。そして、チームに融資したのは、ALMS(アメリカン・ル・マン・シリーズ)創設者ドン・ペイノウズであった。

ウィンドトンネルでのテストと、サーキットでのシェイクダウンを重ね、彼らは競争力のあるレースカーを生みだすことに成功した。しかし、デルタウィングの参戦は、ル・マンのオーガナイザーACO(フランス西部自動車クラブ)の開かれた精神無くしては実現しなかっただろう。

ル・マンには56番グリッドというのがある。それは、レースでの点数は獲得できないものの、「モーター・スポーツの発展に貢献する実験的なマシン」のために設けられているものだ。ACOはそれを日産デルタウィングに与えたのだった。

ボウルビーによれば、目指したのはすべて半分だったそうだ。車重、空気抵抗、燃費、タイヤ消耗を半減し、現在のあらゆるル・マンのマシンの半分以下の排気量を使いながら、レースで充分に勝負できるだけのパワーを発揮させる。それがゴールだった。

ル・マンをリードするマシンは、概ね車重が900kgで500ps以上は持っている。一方デルタウィングは車重が500kg、搭載するエンジンはめいっぱいチューニングした日産の1.6リッター 4気筒DIG-T(直噴ガソリンターボ)。5速で、市販バージョンより112馬力も多い300psを発揮する。

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筆者ピーター ライオン
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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