EVの親しみやすさは「良い意味での」家電製品/竹岡圭(1/2)
- 筆者: 竹岡 圭
付き合いやすさを持っているEV「i-MiEV」
最近、EV(電気自動車)に乗る機会がとても多い。実は3日間立て続けに「三菱 i-MiEV」「BMW MINI-E」「日産 リーフ」の試乗があったくらい。
価格も下がってきたことで、ますます身近な存在になりそうなEV。そこで、それぞれの特徴を改めて考えてみることにしようと思う。
まず、三菱のi-MiEV。市販化も始まって、現在いちばん身近な存在のEVだ。
内燃機関を持つ軽自動車「i(アイ)」のコンバートEVという立場だが、元々持っていたリアミッドシップというレイアウトが功を奏し、運動性能的にもかなりバランスがいい。
カタログ上では「160km」と表示されている航続距離は、エアコンを使って電費を気にせず高速を走るなんていう使い方をすると「100km弱」と考えておいたほうがいいが、軽自動車というボディサイズが持つ機動力の高さが、シティコミューターとして生きていると言える。
ガソリン車のiと室内の広さも変わらないし、使い勝手も変わらない。i-MiEVは、ガソリン車と変わらない付き合いやすさを持ったEV、といっていいと思う。
「日産 リーフ」登場により拡がっていくEVの可能性
次は、日産のリーフ。
今年の12月に市販化が予定されているので、試乗したのはあくまでも量産前のコンセプトモデル。とはいえ、ほぼ完成品に近いものだ。
リーフは、最初から「EV専用モデル」として設計されているために、iのように電池が床下に配されていてガソリン車と比べてさらに重心高が低くてスポーティとか、一挙にトルクが立ち上がるからよりパワフル、なんていう比べ方はできないが、リーフ単体でみた場合でも十二分にキビキビしてパワフルなクルマに仕上がっている。
ちょっとしたホットハッチという雰囲気で走ることも可能なくらいの運動性能を持っているのだ。
iと同様、Dレンジの他に「ECOレンジ」というものを持っているが、走りのフィーリングの差がi-MiEVよりかなり大きい。フーガのエコペダルのように、無理やり(?)エコさせられているような感じさえするくらいだ。
しかしかなりパワフルなクルマなので、街中走行だけでなく、雨や雪など路面が滑りやすいシーンでも活躍してくれそうなレンジだという印象を持った。
さて、リーフで特徴的なのはEVで初めて「走行音を出す」ようにしたこと。
市街地などの低速走行時に音がまったくしないEVやハイブリッドカーは、歩行者に気づいてもらえず危険性が高いという理由で、走行音を出すか否かという話があったが、リーフでは「時速30km/h以下の走行」時と「後退」時に、擬似走行音を出すことができるようになっている。
走行音は不快ではなく室内にはほぼ聞こえず、不必要なときはカットすることもできるなど、よく考えられている。
もう一つユニークなのは、携帯電話でエアコン操作や充電システムを遠隔操作できるなど、未来的なシステムがテンコ盛りな点。
i-MiEVが今までの携帯電話だとしたら、リーフはi-Padくらい世界が広がった感じがする。
カスタマイズもどんどんできるようになるだろうし、これからの電気自動車には、こういった機能がどんどん盛り込まれてくるに違いない。
白物家電のようなEVには愛着が持てないのではないか・・・?などという心配の声を聞いたことがあるが、これならtwitterを始めて四六時中i-phoneを触っているのと同じくらい、欠かせない存在になるのは間違いないハズ。
つまりリーフは、いちばん機能で未来を感じさせるEVといっていいと思う。
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