インドの交通事情 vol.3/竹岡圭のコラム

インドの交通事情 vol.3/竹岡圭のコラム
マルチスズキ ディーラーにて竹岡圭さん マルチスズキブース前/ニューデリーモーターショー トヨタ エティオス/ニューデリーモーターショーにて トヨタ エティオス/ニューデリーモーターショーにて ホンダ ニュースモールコンセプト/ニューデリーモーターショーにて ホンダ ジャズ(フィット) ホンダ シティ(フィットアリア) 混み合うトヨタ・ホンダブース/ニューデリーモーターショー 画像ギャラリーはこちら

インドでスズキ車が売れている理由とは?

マルチスズキ ディーラーにて竹岡圭さんマルチスズキブース前/ニューデリーモーターショー

インドでいちばん売れている自動車メーカー、それは「マルチスズキ」なのです。

乗用車シェアだけでみると、なんと55%以上を占めているというのだから、ちょっと驚いちゃいますよね。ちなみに2位は「ヒュンダイ」、3位にようやく自国メーカーである「タタ」が入っています。

で、マルチスズキとは一体何なのか?って思いますよね。「スズキ」という名前が入ってはいるけれど・・・。日本ではあまり知られていないんです。

まず、事の始まりはインディラガンジー首相の息子さんが大のクルマ好きで「インドで国民車を作ろう!」となったことからです。国家プロジェクトとして始動し、工場も作られ、いよいよ始動直前となったところで、交通事故により首相の息子さんが亡くなってしまったんだそうです。

そこで、提携してくれるメーカーを探していたところ、話がまとまったのが日本のスズキだったというワケ。これは1982年のお話です。

最初は「マルチウドヨグリミテッド」というインド政府主体の会社のお手伝いをスズキが行うというカタチだったそうですが(出資比率スズキ26%、インド政府74%)、その後の比率は50:50、2002年には54:46とスズキの方が多くなり、2008年インド政府が企業の民営化を進めるという政策を打ち出したところで54%をスズキが、46%を一般株主が持つという、いわゆる一般的な民営会社となって現在に至ります。

つまり今はインド政府の出資はゼロなのですが、マルチという名前を残し「マルチスズキ」という地元に根付いた会社として活動しているというワケなんですね。

国産メーカーがインドを狙っている訳

と、今まではマルチスズキの一人勝ち状態だったのですが、これからはますますクルマの需要が増加するであろうインドシェアを、他のメーカーが黙ってみているハズもなく。

トヨタ エティオス/ニューデリーモーターショーにて
トヨタ エティオス/ニューデリーモーターショーにてホンダ ニュースモールコンセプト/ニューデリーモーターショーにて

今回のニューデリーモーターショーでは、トヨタやホンダがワールドプレミアとしてコンセプトカーを発表するなど気合いの入ったところを見せていましたが、これにはインドのシェア獲得以外に、もう一つ理由があります。

実は、インドで販売するのはもちろんなのですが、インドの工場で作ったクルマを欧州などに輸出することを考えているからなんです。

実はマルチスズキもAスターというインドの工場で作ったクルマを(欧州名はアルト)、インド周辺国を始め、欧州各地やオーストラリアで販売しており、かなりの売り上げ台数を誇っているという実績があるんですよ。

なんと、ブータンやパキスタンでもマルチスズキは50%以上のシェアを獲得していて、さらに昨年はスクラップインセンティブの恩恵をこうむり、ドイツでもかなり売れたんだとか。

もう日本のメーカーというよりも、インドのメーカーとして完全に独立、君臨している感じの勢いなんです。その影響を受けてか、トヨタやホンダはもちろんのこと、世界のメーカーがインドに工場を持って進出してきそうな雰囲気なんです。

そのうち、世界のハブ工場が集まる拠点国になるんじゃないかしら・・・。そんな予感がヒシヒシと伝わってきました。

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竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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