完成度の高さとちょっとワルめな方向性を持つカスタムカーを毎年東京オートサロンに出展するWiZ(国際情報工科自動車大学校)(福島県)。
2013年にはチョップドルーフなのにEVというVW TYPE1(ビートル)、2014年はマツダ ロードスターのフロント部をエンジンむき出しにしたストリートロッド仕様、2015年はトヨタ プリウス(20系)にポンティアック トランザムのエンジン・ミッションを移植したドラッグ仕様プリウス、昨年は日産 キャラバンの救急車のボディをペッタンコにしてシルビアのSR20DET型エンジンをスワップしたカスタムなど、枠にとらわれないアイデアが注目され、2013年にはコンセプトカー部門の優秀賞を受賞している。
そんなWiZは今年もパンチが効いたカスタムカーを出展。それが、「モンスターサニー」である。
コンセプトはズバリ、モンスタートラックだ。
モンスタートラックとは、アメリカで人気のあるカテゴリーで、1500ps以上のエンジンを載せたパイプフレームに市販ピックアップトラックの姿を模した樹脂製のボディをかぶせ、約1.7mという巨大なタイヤを着けてクローズドコースを爆走する自動車競技のひとつだ。
ベースになったのは、2011年の東京オートサロンにWiZが展示したハイブリッド車に改造された日産 サニートラック。
エコカーなのに昭和なモディファイが魅力的だった同車だが、今回エンジンはなんとアメリカンな5.7リッター(350ci=キュービックインチ)というエコとは真逆の「パワー系」に進化。しかもモンスタートラックのコンセプトを実現すべくハイリフト化、タイヤも高さ1m近く、幅が35cmもあるBFグッドリッチのオフロードタイヤに。
紫系のカラーリングと相まって、コンパクトなサニートラックが並々ならぬ迫力を手に入れている。
本来1リッターや1.2リッターの小さな直4エンジンが積まれていた空間にV8エンジンは収まりきらず、エンジンルームとキャビンを隔てるバルクヘッドを撤去してエンジンを押し込んだ。
そのため、キャビン内にはエンジンをカバーする大きな張り出しが無骨な滑り止め鉄板で組まれている。マフラーはサイレンサーなどを介さず、そのままボンネットから8本突き出る男らしい設計だ。
ハイリフト化するために複雑なフレームも新規に設計され、リアサスペンションもマルチリンク式のそれを他車種から流用するなど、高い技術力を感じさせる。
製作メンバーはクルマの雰囲気とぴったりの雰囲気を持つ全員お揃いのシャツとサロペットを着用。ワイワイと楽しみながらこのサニートラックを作り上げたであろう、彼らの明るい笑顔がとても印象的だった。
WiZは来年どんなカスタムカーを持って来てくれるのだろう。楽しみである。
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