Honda Racing F1 Teamの新型マシンRA107が、1月24日、サーキットデビューを果たした。そして25日、チームのドライバーとマネジメントを交え、RA107のテクニカル面に焦点をあてた「Technical Insight」と呼ばれるプレス向けイベントをスペイン・カタルニアサーキットで行なわれた。
このイベントは、昨シーズン、コンストラクターズランキング4位を獲得したHonda Racing F1 Teamが、新車の開発とチームの発展をどのように進めてきたかに焦点をあて、行われた。今回お披露目したRA107は、2月に発表する2007年シーズンを戦う新しいカラーリングとは異なり、黒と白のテスト専用カラーリングを施している。カタルニアサーキットで新車を披露し、素晴らしい一歩を踏み出したレースドライバー、ジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロそしてチームマネジメントは、2007年シーズンの成功を祈願し、下記のようにコメントした。
■ニック・フライ Honda Racing F1 Team CEO 「我々が、イギリスと日本との素晴らしい連携により、今回のマシンを開発できたことをうれしく思う。それぞれの異なる文化を持つエンジニアたちにより開発されたRA107は、まさに、これまで培ってきたコミュニケーション、チームワークそしてチャレンジスピリットによる成果と言える。我々は、昨シーズン後半に力強い走りを見せ、さらに他のチームより多くのマイレージをこなした昨年末のテストでも成果を収めることができた。我々は、ドライバーやキーとなるスタッフが変わらないことをメリットとして活かし、昨年完成したフルスケールの風洞を用いてデザインされた新型マシンRA107のパフォーマンスを武器に、ワールドチャンピオンに向け、まい進していく。
そして、ジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロという、F1ドライバーの中でも豊富な経験と高いレベルを備えた二人のドライバーは、共に連携し、チームでリーダーシップを発揮し、車体開発において重要な役割を担っている。ウィンターテストで好スタートを切った、クリスチャン・クリエン、ジェームズ・ロシターはマイレージを重ね、開発に役立つ重要なデータ収集に貢献。また、彼らは若く、経験もスピードも備えおり、期待どおりの走りをみせ、レースドライバーをサポートしている。」
■中本 修平 Honda Racing F1 Team シニア・テクニカル・ディレクター 「RA107は、幸先の良いデビューを果たすことができました。これから開幕まで、実走テストでやるべきことがたくさんありますが、マシンには自信を持っていますし、いい流れに乗っていると思います。
このRA107は、10ヶ月にわたる設計、開発、そして製作過程における成果の結集です。実はRA106のレースデビュー直後に、RA107の開発に取り掛かりました。ブラックリーにあるHonda Racing F1 Team、ブラックネルにあるHonda Racing Development、そして日本の栃木にある本田技術研究所の間で行われた長期プロジェクトの集大成でもあります。
新しい衝突テスト基準に合格するため、十分に安全性を確保すると同時に、空力面でのマシン効率を改善することが一番の課題でしたが、この2つの目標を達成すると同時に、マシンの軽量化も図ることができ、満足しています。また、排気系やラジエーターなど様々な刷新的なパッケージングを施し、よりシャープなマシンに仕上がりました。
ブラックリーでのシミュレーションや、他チームよりも多くの距離を走りこなした昨年末のテスト結果により、我々はブリヂストン・ポテンザタイヤの使い方や特性に関する有効な情報収集を可能にしました。
2007年からエンジンを凍結するレギュレーションが導入され、これにより、エンジン開発は実にチャレンジングなものでした。19,000回転数という制限の範囲で、トルク特性の改善、燃費の改善もできたので満足です。
今後も、テストでしっかりと開発プログラムを進め、3月18日の開幕戦決勝レースまでに、RA107の性能をさらに高いものにしていきたいです。」
■ジェンソン・バトン 「今日これからRA107をドライブするのが楽しみだよ。日本とイギリスで、数ヶ月間、チームとドライバーがこなしてきたハードワークの成果が試されるね。
昨日、RA106をドライブして、新しいブリヂストン・ポテンザタイヤを初めて試したよ。今日は、まさに新車と比較できるチャンス。しばらく走行を控えていたけど、クリスマスからトレーニングも入念にして、体も鍛えてきたしね。コックピットに戻れて本当にうれしいよ。
去年の後半から、僕たちの戦闘力は上がったし、なんといっても優勝は特別だよ。今年はホンダのフルワークス体制2年目のシーズン。ワールドチャンピオンに向けてまた一歩近づけると思うし、この目標は現実のものになるチャンスがあると思う。今からオーストラリアでの開幕に向けて、やらなければならないことはたくさんあるよ。」
■ルーベンス・バリチェロ 「昨日、RA107に初めて乗って、とってもいい仕上がりだと思ったよ。
僕のHondaデビューイヤーとなる去年一年間を振り返って、マシンとチームの進歩をとてもうれしく思う。RA107はさらに進化を遂げていくことは明らかだよ。
RA107の新しいステアリングとサスペンションは、ブリヂストン・ポテンザタイヤとの相性もよくなっているし、改善されたトラクションコントロールもタイヤの性能を最大限に発揮しているよ。
チームのキーとなるスタッフに変化がないことはチームにとってもすごいアドバンテージだと思っているから、今シーズンは自信があるよ。このマシンが、これまでチームメンバーによって、どれだけの過程を踏んできたかわかっているし、ワールドチャンピオン獲得に向けて、みんなの努力で前進できると思っている。今シーズンはこれまでとはちがった展開が期待できそうだから、今から開幕が待ち遠しいよ。」