2006/6/29 16:30
横浜ゴム、設計精度を大幅に高める新技術を開発
横浜ゴムは、昨年発表した第三世代設計基盤技術「マルチスケール・シミュレーション」をさらに強化する新技術として、タイヤ材料設計を飛躍的に向上させる技術を開発した。従来の「マルチスケール・シミュレーション」では、ミクロスケールの材料設計を次のマクロスケールの走行シミュレーションに利用する「一方向」のみだったが、今回の新技術はマクロスケールで得た予測をミクロスケールにフィードバックして利用できる「双方向」性を実現させた。これにより、タイヤ特性とミクロな材料構造を並行して考察できるため、タイヤ設計精度を飛躍的に高めることが可能となった。
新技術の導入で解析が可能となったのは、補強材としてタイヤのコンパウンドに含まれるカーボンブラックやシリカなどの走行中の挙動。コンパウンドには、耐摩耗性や力学的特性を向上させるために補強材を配合するが、従来技術では走行中のタイヤ各部にかかる応力やひずみは予測できても、その際の補強材の挙動までは解析できなかった。しかし、新技術では走行中のタイヤの1点を顕微鏡で覗くようにして、コンパウンドに含まれる補強材の動きを調べることができる。この結果を補強材の設計にフィードバックすることで、補強材の配合・構造とタイヤ特性とのメカニズム解明が飛躍的に進み、ころがり抵抗とウェット性能など相反するタイヤ性能をより精度よくコントロールできるようになるため、今後、新商品の低燃費性やブレーキング性能向上に大きく貢献できる。