トヨタは、都内で「トヨタ環境フォーラム」を開催し、「研究開発」「モノづくり」「社会貢献活動」の3つの分野で、低炭素社会に貢献するためのアクションプランを発表した。
トヨタ自動車 渡辺捷昭社長は、「トヨタは創業以来、自動車を通じて、豊かな社会づくりに貢献することを基本理念として事業活動を営んできた。今後とも、人と技術の力を結集し、地球環境保全と経済成長を両立することができる社会の実現に貢献していきたい」と語った。
トヨタはハイブリッド技術を核に、石油消費の抑制とエネルギー多様化への対応等を推進することによって、「サステイナブル・モビリティ」の実現に向けたチャレンジを続けていく。
【自動車】
エネルギー多様化に対応するとともに、「CO2排出量の削減」と「大気のクリーン化」を同時に実現することができる自動車を開発し、世界各地のエネルギー動向に合わせて、「適時・適地・適車」の考え方に基づき、市場に投入していく。
・車両
2008年内の発売を予定している「iQ」では、全長3m未満のボディーサイズに4人の乗車を可能とする革新的なパッケージを実現。
・パワートレーン
1997年から2007年までの10年間で、日本国内で販売した新型車の平均燃費は約28%向上。コンベンショナルなエンジンとトランスミッションの効率向上に向け、2010年までに新シリーズへの切り替えを実施。
[ガソリンエンジン]
2008年の1.3Lと2.5Lの新型エンジン導入により、エンジンラインアップの一新が完了。新型1.3Lのガソリンエンジンには、新開発のストップ&スタートシステムを採用。
[ディーゼルエンジン]
2003年にDPNR付クリーンディーゼルエンジン、2007年秋にV8 4.5Lの新型エンジンを導入。2008年2月には生産累計2000万基を達成。
[トランスミッション]
オートマチックトランスミッションの多段化やCVT化を推進するとともに、 2008年秋には高効率な小型6速マニュアルトランスミッションを導入。
・ハイブリッド車
ハイブリッドシステムは「排出ガスのクリーン化」「CO2の低減」「燃費の向上」の全てに貢献できるトヨタのコア技術であり、設定車種を拡大するなど、積極的に普及を促進。2010年代のできるだけ早い時期にハイブリッド車年間100万台販売の達成を目指すなど、更なる普及に努める。今後はモーター、インバーター、電池等について一層の小型・軽量化、低コスト化を推進。
・代替燃料車
[バイオ(FFV)]
2006年には世界で販売する全車にE10(エタノール10%)対応を完了。2007年5月にブラジルではE100(エタノール100%)対応のカローラFFVを導入。2008年内に北米にE85(エタノール85%)対応のタンドラおよびセコイアFFVを導入。
[電気(PHV/EV)]
プラグインハイブリッド車(PHV)については、近距離は電気自動車(EV)として走行し、長距離は通常のハイブリッド車として走行できるため、現時点では最も有望なアプローチであるとの認識のもと、日米欧で実証実験を実施。重要な鍵を握る電池に関しては、2008年6月下旬に「電池研究部」を新設し、リチウムイオン電池の性能を超える革新的な次世代電池の研究開発を推進。
[水素(FCHV)]
新設計の高性能燃料電池「トヨタFCスタック」を搭載した「トヨタFCHV-adv」を開発し、6月3日に国土交通省より型式認証を取得。燃費効率を約25%向上させるとともに、自社開発の70MPaの高圧水素タンクを搭載することで、一回の水素充填による航続距離は、約830km(10・15モード走行、JC08モード走行では約760km。社内測定値)と従来型車に比べ2倍以上の性能向上を達成。低温度始動性能に関しては、マイナス30℃の寒冷地においても始動・走行を実現。
【代替燃料供給】
代替燃料利用においては、供給面でも様々な取り組みを実施。日米にエネルギー研究組織を設置し、グローバルなエネルギーの調査分析体制を強化。
・インフラとドライバー支援
インフラ面では、国内では、関係省庁と協力し、プローブ交通情報システムの実用化など、渋滞回避による交通流改善に取り組む。ドライバーのエコドライブをサポートする取り組みとして、燃費効率の良い走行状態をランプ点灯により知らせる「エコドライブインジケーター」や、シフトタイミングやエアコン設定などを省エネモードにする「エコドライブモードスイッチ」の採用車種を拡大。
生産・物流面では、従来より、CO2低減、連結環境マネジメントの強化など、環境対応に積極的に取り組んでいる。今後はサステイナブル・プラント活動のグローバル展開など、さらなるCO2低減に向けた取り組みを強化していく。
・生産活動におけるCO2低減実績と目標
現在、2006年度より2010年度までに実施すべき項目を定めた「第4次トヨタ環境取組プラン」に基づき、活動を推進中。同プランで定めた生産活動におけるCO2低減の2010年度目標を既に達成することができたため、新たにチャレンジ目標を追加し、取り組みを強化。
・サステイナブル/プラント活動
2007年7月より、「自然を活用し、自然と調和する工場づくり」を目指し、「サステイナブル/プラント活動」をグローバルに展開。
・主な取り組み
国内では、革新生産技術を導入した第1ラインが稼動を開始し、地域住民と従業員がボランティア参加し、植樹を実施。海外では、「環境と地域社会との共生」をコンセプトに、革新ラインを導入する他、森の中の工場として植樹および緑化活動も積極的に展開予定。
持続可能な地球環境の保全に向けては、国際社会や国レベルでの取り組みとともに、地域に根ざした地道な活動の積み重ねが重要という考えの下、「森づくり」「人づくり」「地域づくり」を柱とする活動を、各国・地域で推進している。今後は、より一層の活動の充実を図るとともに、それらの活動から得られる知見や経験を、より広く社会と共有し、地球環境保全に貢献する。
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