1955年に初代が登場して以降、日本のモータリゼーションの発展と共に進化・熟成を重ねてきたクラウン。一部海外輸出も行なわれたが。基本は“日本専用モデル”と言うスタンスは不変で、まさに「日本人のための高級車」を体現したモデルである。
歴代モデルを振り返ると、純国産設計で開発された初代、丸みを帯びたスタイルを採用した4代目(通称クジラクラウン)、フルモノコックボディとなった10代目、V6エンジンやプラットフォームなどゼロから開発した11代目(通称ゼロクラウン)、そして4気筒(ハイブリッド)搭載やピンクのボディカラーが話題となった13代目と様々なチャレンジが行なわれてきたが、14代目となる次期モデルは「伝統と革新の融合」を今まで以上にアピールするために全面刷新の道を選んだ。
エクステリアは4ドアセダンボディながらも、Cピラー(伝統の太いピラーを廃止)を寝かせた6ライトの伸びやかなスタイルを採用。フロントマスクは大胆なデザインで話題となった現行モデルのイメージを受け継ぐものの、よりスマートなデザインへと進化。実はデザイン検討時に、ある役員が新型のリアスタイルを見て、比較用の欧州車だと勘違いしたとか!?
ボディサイズは全長4910×全幅1800×全高1455mm、ホイールベース2920mm。大きく見えるが、実は現行モデルと変わらないが、ホイールベース+70mmは後席の居住性アップに使われている。
インテリアも刷新され、よりスマートなデザインとなっているが、特徴的なのは上下のツインモニターだろう。これは先代のトヨタマルチオペレーションタッチの進化版と言えるアイテムで、上部は表示、下部はナビゲーションや空調、オーディオなどのコントロールをタッチパネルで行なう仕組みだ。インターフェイスは刷新されたものの、操作レイアウトは従来モデルから変更されていないため、説明書を見なくても操作可能だそうだ。
居住性は従来モデルとヒップポイントはほぼ同じ。頭上スペースはルーフラインを上手に取ることで、見た目以上の広さを実現。個人タクシーで使用しても問題なさそうだ。
走りの部分は10代目のゼロクラウンから使われてきたプラットフォームに別れを告げ、「TNGA」に基づいたプラットフォームを採用するが、レクサスLC/LSで採用されるGA-Lだが幅が狭いナロー仕様だ。
フロントミッドシップ、低重心と原理原則に基づいた設計はもちろん、日本専用モデルながら自動車開発の聖地「ニュルブルクリンク」で走行テストを実施。これまで「クラウンは100km/hまでは最高」と言わる一方で、「ハンドリングは……」と言われることが多かったが、新型はクラウンらしい快適性をシッカリ継承しつつも、200km/hオーバーまで想定した意のままに操れるハンドリングや走行安定性を実現しているそうだ。
ちなみにチーフエンジニアの秋山晃氏は「クラウンは日本専用モデルですが、新型の走りのベンチマークはジャーマン3です。ニュルブルクリンク24時間に参戦してもいいくらいのポテンシャルを持っています」と自信を見せる。
従来モデルはアスリートの販売比率が高かったことに加え、新型はオーナードライバー主体の戦略を取ることから、基本的にはモノグレードだと予想されている。
展示車のフロント/リアに「RS」のエンブレムが装着されるが、これはスポーツグレードを意味しているそうだ。もちろん、ロイヤルサルーンに相当するグレードだけでなく、スポーツコンバージョンシリーズ「GR」も予定されている。
パワートレインに関して公式なアナウンスはなかったが、関係者によればV6、直4、ハイブリッドなど一通り取り揃えられるとのことだが、恐らくどれも完全新設計である「ダイナミックフォースエンジン」だろう。ちなみに従来モデルは4気筒(ハイブリッド、ターボ)の比率が8~9割を占めていたと言うので、新型も4気筒推しなのか!?
このように、クラウン史上最大の“革新”が行なわれた14代目、登場は2018年の夏を予定している。
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