MOTAトップ ニュース/記事 特集 東京モーターショー2017 トヨタ センチュリーは“ジャパンメイド”の歴史だ。50年受け継がれる“伝統”と“技”をどこよりも早く徹底解説【東京モーターショー2017】
フルラインナップを誇るトヨタの中でトップモデルとなるがセンチュリーである。初代モデルは1967年に登場、日産プレジデントと並び後席の快適性を重視したショーファードリブンカーとして、自家使用よりも官公庁や企業の役員車として数多く活躍してきた。
1997年に登場した2代目は、初代のデザインを受け継ぎながらも中身は全面刷新、最大の特徴は唯一無二となる5L-V12エンジンを搭載したことだろう。2代目も細かい改良を重ねながら20年に渡って生産された。
そして、豊田佐吉生誕150年となる2017年に3代目が公開された。新型のコンセプトは初代から続く「匠の技」、「高品質のモノ作り」と「最先端技術」の融合がテーマだ。
ボディサイズは全長5335×全幅1930×全高1505mm、ホイールベース3090mmと2代目より若干サイズアップ。拡大分の多くは後席スペースに用いられている。
新型センチュリーのエクステリアは、一目でセンチュリーと解る風格のあるデザインながらも現代流にアレンジ。2011年東京モーターショーで関東自動車(当時)が参考出品された「FSハイブリッドコンセプト」に非常によく似た印象である。
ちなみに初代/2代目の富士山をイメージしたサイドビューはパッケージ優先でCピラーは立ち気味に変更されているが、額縁をイメージした窓枠などは継承されている。ちなみに2006年に御料車として開発された「センチュリーロイヤル」と並走することも考慮し、デザインは共通性を持たせている。
新型センチュリーのインテリアは折上げ天井様式の採用や、座り心地を追及したリフレッシュ機能や電動オットマン付きのアジャスタブルリアシート(ウール100%のファブリックと本革を設定)、その他大型ディスプレイ付きエンターテイメントシステムや20スピーカープレミアムオーディオの採用など、心地よさと格の高さはレクサスとは比較にならない。
後席優先のモデルながらもフロントシート周りのデザインも抜かりはなく、横基調のインパネはオーソドックスなデザインながら、端正で品位ある質感に仕立てられている。
新型センチュリーのパワートレインは5L-V8(2UR-FSE)+モーターを組み合わせたハイブリッドを搭載。これは先代レクサスLS600hに搭載されていたユニットがベースとなるが、駆動方式はAWDではなく後輪駆動のみ。V12を惜しむ声もあるが、今後より厳しくなる環境性能や燃費性能などを考慮した上での選択だそうだ。燃費はモーターショー時点では未発表だが、「V12と比べると雲泥の差」と、トヨタ関係者は話してくれた。
ちなみに2代目は信頼性確保のためにV12エンジンのバンクが、片方それぞれ独立した制御が特長だったが、新型はLS600hでの信頼性が活かされており1系統に集約。
更にアイドリング時間が長いセンチュリーならではの問題……定期交換部品のクーリングファンも交換の必要なし。これはハイブリッド化によるアイドリングストップなどの効果が大きいと言う。
プラットフォームは新開発と思いきや、先代レクサスLSをベースにセンチュリーに最適化された物を採用。こちらもパワートレインと同じく信頼性を理由に採用された。
開発段階では新型LS用の「GA-L」も検討されたが、関係者は「センチュリーは何があっても絶対に壊れてはいけない」と言うことで、実績あるプラットフォームが選ばれたそうだ。とはいえ、世界基準で開発されたプラットフォームの上に専用チューニングされたサスペンションや乗り心地に特化した専用タイヤ(レグノ)の採用により抜群の快適性と2代目比で飛躍的にレベルアップされた走行安定性を実現。
また、エンジンマウント特性の最適化やアクティブノイズコントロールなどの採用により、現行レクサスLSも驚く圧倒的な静粛性もポイントの一つとなっている。
また、最新のモデルらしく衝突回避支援システム「トヨタセーフティセンスP」をはじめとする安全支援システムの採用など、安全性にも抜かりはない。新型も歴代モデルと同じくフルモデルチェンジサイクルは長めのようだが、しかるべきタイミングでアップデートを実施していくそうだ。もちろん、将来的には高度運転支援も視野に入っていると言う。
基本的には日本専用車ではあるものの、ショー会場では海外メディアからも高い注目を受けていたので、個人的にはメイド・イン・ジャパンを象徴する一台として世界に向けて発信(=左ハンドル仕様の設定)してもいいと思うのだが……。
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