近年の東京オートサロンにおいて、保守的なイメージを覆すアグレッシブな出展を毎年見せているトヨタブースにおけるカスタマイズカー、コンセプトカーの目玉となったのがヴィッツとアクアそれぞれのTGRコンセプトだ。
※TGRはトヨタのスポーツ車両やモータースポーツを手掛けるToyota Gazoo Racingの略。
ヴィッツ TGRコンセプトから見てみよう。
現行ヴィッツには2013年に輸出仕様の3ドアボディに1.5Lターボエンジンを搭載したGRMN Turboが200台限定で設定されたことがあり、ヴィッツTGRコンセプトはその後継車的な位置付けとなる。
開発担当者によれば「VWのポロGTIやプジョー208GTiといったヨーロッパでホットハッチと呼ばれるジャンルを強く意識すると同時にWRCに出るヴィッツにつながるイメージを持つクルマにしたいと思っています。またGRMN Turboでトヨタの社内チームが全日本ラリーに出ていますから、ラリー参戦からフィードバックもたくさん盛り込まれています」という。
パワートレーンや市販化の可能性に関しては「GRMN TurboはFFで1.5Lターボでしたが、その進化版ということを考えるともっとパワフルなエンジン(1.6~1.8+過給機)で、このショーカーはFFですが世に出るときにはWRカーのように4WDとなっているかもしれませんね(笑)」。市販化やその時期については「時間は掛かるかもしれませんが、楽しみにしてください!」と力強く語ってくれた。
市販化された際の価格はGRMN Turboが270万円だったことを考えると300万円超えは確実であるが、値段を抜きにして「とにかく欲しい!」と思わせてくれる、WRC直系のヴィッツが登場することを大いに期待したい。
アクアTGRコンセプトは、TGRという車名やマイナーチェンジ後の86を思わせる空力性能を意識したバンパーの形状から、トヨタのスポーツ車両において工場生産でサスペンションやボディに手を加え走行性能を高めたG’sシリーズよりスポーツ性を高めたような立ち位置にあるように見える。
そのあたりを開発担当者に聞いてみると「室内を見るとステアリングの形状を変えている点からも分かるかもしれませんが、中身G’sよりもいろいろやっています。細かい内容は言えません(笑)」。
話を聞くと、トヨタのスポーツ車両においてアクアTGRコンセプトは前述したG’sと少量生産でエンジンやトランスミッションといったパワートレーン系にも手が加えられる、GRMNの中間的なチューニングが施されていることが予想される。となるとパワートレーン系のチューニングの有無が気になるところだが、「そのあたりはクルマによって異なるかもしれませんね」と微妙な答えであった。
市販化に関しては「こういったショーでの反響次第ですね」とのことだが、トヨタがスポーツモデルを扱う専門店舗を新たに計画しているという噂があるのも踏まえると、スポーツモデルの拡充や強化を行うというのも整合性のある話であり、アクアTGRコンセプトのようなクルマが何らかの形で世に出るのは濃厚なのではないだろうか。
[Text:永田恵一]
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