第45回東京モーターショー2017の日産車体ブースでは、およそ20年振りにフルモデルチェンジをする、日産の高規格救急車としては5世代目にあたる新型パラメディックのコンセプトモデルが出展された。
できることならばお世話にならずに済んだ方がよい救急車。とても身近だが、なかなか近くで見ることのできないクルマについていろいろと聞ければと思い、日産車体ブースでお話を伺った。
今回約20年ぶりに高規格救急車「パラメディック」のニューモデルを投下する日産自動車(実際の販売は2018年の予定)。救急車市場は年間600台程が新造され、およそ5~7年で車両が入れ替えられるという。
この辺りから、今回のモデルチェンジのポイントを関係者に伺うと、こんな答えが返ってきた。
「確かにそういう(スーパーロングは救急車開発のベースにする)ことも視野にはありました。そして日々進化・高度化し、スピードを求められる救急医療の現場に対応させるべく、救急車としても、救命救急に供するという点でも、今できる限りのことを盛り込んでいきました。」(日産車体関係者)
現行のNV350キャラバン、ラインナップには従来のスーパーロングに加えて、ライバルのトヨタハイエース/レジアスエース同様「スーパーロング・ワイドボディ」を用意していた。2012年のキャラバン(NV350キャラバン)フルモデルチェンジからかなり時間が経っていたが、来るべき高規格救急車のモデルチェンジを見据えてのことだったのだろうか。
パワートレインに関して、4代目パラメディックとの違いはどこにあるのだろう。
「今までVQ35型V6 3.5リッターエンジンを搭載していました。しかし新型はQR25という直列4気筒エンジンを採用しています。確かに従来の6気筒よりはエンジン自体は非力です。しかしそれをカバーするために、通常のNV350キャラバンのものとは異なる、専用のローギヤードなトランスミッションを採用しました。」
高規格な救命医療装置などの搭載で、救急車の車重も増えているはずだ。大排気量エンジンではなくても大丈夫なのだろうか。
「NV350キャラバンの高規格救急車は、ガソリンエンジン+4輪駆動が標準になります。確かに大きなエンジンの方が良いようでもありますが、圧倒的に信頼性が高いこと、そして、かなり長時間にわたって現場でのアイドルタイムがあり、そうした中でも比較的静粛性が保たれ、さほど熱がこもったりして、各消耗パーツの劣化を早めたりすることのない、コンパクトなガソリンエンジンは救急車のエンジンとしては理に適っている部分があります。」
実は同じような用途、要望は救急車以外でも少なくないものの、現在はNV350キャラバンのスーパーロングワイドボディにはガソリンエンジンと4輪駆動の組み合わせがない。日産車体の関係者によれば、今後この組み合わせを通常モデルにも展開することも検討しているとのことだった。
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