最近では東京オートサロンでもユーザーとのタッチポイントを設け、今まで接点のなかったユーザーとのコミュニケーションを密にしようとするメーカー・輸入インポーターが増えてきた。そんな中でルノーは、随分以前より東京オートサロンに出展し続け、積極的にユーザーと触れ合う場として活用しようとしているブランドの一つだ。
今回の東京オートサロン2018では、2017年秋の東京モーターショー2017で日本に紹介された新型メガーヌR.S.(ルノー・スポール)[参考出品]と、2017年に限定で先行導入され、大変な人気を博し瞬く間に完売したトゥインゴGT(の2018年正式導入モデル!)を中心に展示。コンパクトなブースながらも、強くオートサロン2018来場者にアピールしていた。
そんなルノージャポンブースを訪問、お話を伺った。
新年のあいさつも早々に、オートサロンの会場での来場者からの反応などについてルノージャポン広報担当の佐藤さんにお話を伺った。
「率直に申し上げて、来場者の反応はかなりはっきりしています。例えばパンフレット。今回もオートサロンに合わせてご用意しています。東京モーターショーですと、パンフレットは来場者数のおよそ1割程度にお渡しできます。そしてルノーのブースの前を通った方に差し出してどうぞと言うとかなりの方がもらってくださいます。」
それに対しオートサロンの来場者は反応が異なるのだという。
「オートサロン会場ではパンフレットを差し出しても、受け取ってくださる方と、はっきりお断りになる方がいるのです。もちろんお目当てが何かもみなさんまちまちだというのはあるでしょうね。結果、配布物も来場者数の5パーセント程度と、数自体も少なくなります。」
これは少なくない差だ。
しかし受け取った来場者からはかなり突っ込んだ質問や要望などをいただくケースもあるそう。東京オートサロンではよりディープでコアなユーザー反応を直接肌で感じるという。
「クルマが好きな方が大勢集まるオートサロンで、まだまだ彼らにも深く知られていないルノー車をご紹介できる機会というのは、とても大きな価値があると思っています。」とルノージャポンの佐藤さんはオートサロン出展の価値について語ってくれた。
そのような環境の東京オートサロン2018ルノーブース。車両の展示でもモーターショーとはっきり分けた部分があるという。
「今回、間もなく正式なカタログモデルとして選んでいただけるようになるトゥインゴGTを参考出品させていただいております。昨年限定200台で販売いたしましたところすぐに完売。そのあとも大変好評でかなり多くのご要望が寄せられていました。カタログモデルに加えるにあたって、ボディストライプなどは省かれるものの、チョイスできるカラーは2色に増えるほか、好評の5速MTに加えて2ペダルの6速EDCも選択できるようになります。」とのこと。限定車が手に入らず悔しい思いをしていたユーザーには朗報だ。
今回の東京オートサロン2018では、発売前の参考出品だが、印象的だったのはトゥインゴGTの展示。「これはオートサロンならではと言ってよいかもしれません。」と佐藤さんは話す。
トゥインゴGTは0.9リットルの3気筒ターボエンジンをリアのアンダーフロアに収めるという、特長的なRRレイアウトを持つコンパクトハッチだ。その特長が良く伝わるようにと、あえて常時ハッチゲートを開けて展示しているのだという。
実はこの展示手法もモーターショーとは明確に違うという。
「モーターショーではエンジンルームを開けていてもクルマが好きな方は見てくださいますが、大多数の方はせいぜい眺める程度。ですのでご要望のない限りは通常エンジンルームは閉めています。オートサロンでは、トゥインゴのまわりにあつまってくださる方の多くがこのエンジンルーム、食い入るように見入っておられます。」
なるほど、車両展示ひとつとっても、東京モーターショーと東京オートサロンでは全く異なっている。ハッチゲートを開けて来場者の注目を集めていたトゥインゴの展示スタイルこそ、ルノー流のオートサロン展示スタイルと言ってもよいのかもしれない。
目下、日本におけるルノーのビジネスはかなり好調と言ってよい状況のようだ。
「これはお客様に対して申し訳ない部分でもあるのですが、新しいモデルが出ると直ちに注文で一杯になってしまうという状況が続いております。フランスから新たな完成車が届き、陸揚げされると全国のディーラー間で競うように在庫が確保されるというような状況なのです。」
しかし手放しで喜んでばかりもいられないという。
「本当に楽しみに待ってくださっている方にいち早くお届けしなくてはいけないものの、車種によってはかなりお待たせしていて、改善の余地はあると思っています。」と佐藤さんは申し訳なさそうに語る。
「本来であれば通常のカタログモデルが十分に行き渡り、そのうえで、新たなキャラクターで際立たせた限定車などで、新たなルノーファンの獲得をしていきたいのですが、納車待ちを補完するための選択肢になってしまっている部分もある。これは本来の趣旨ではないと考えています。東京オートサロンなどのイベントの場で、より多くの方にルノーを知っていただき、興味を持って頂いたユーザーには確実にできるだけお待たせしないでルノーの魅力をお届けする。そのうえでまだまだ国内に紹介しきれていないルノーの魅力について、例えば限定で先行導入しながら、少しずつご紹介していきたいと考えます。」と説明する。
「ぜひ、長い目で見て欲しいです(笑)」と苦笑する佐藤さんだが、ルノージャポンが抱える課題に対する認識や将来のビジョンは非常に明確だ。実際、昨年2017年のルノージャポン販売台数は7119台と初の7000台超えを達成。8年連続で販売台数対前年比増を記録し続けている。なによりユーザーからの支持数を伸ばし続けていることの証しといって良い。
東京オートサロン2018のルノーブースでは、新年にふさわしい同社の勢い、姿勢に改めて期待が膨らんだ。2018年もルノーの動きからは目が離せない。
[レポート:中込 健太郎/Photo:和田 清志]
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